冬休みに入り、クリスマスを一緒に過ごしたのは奈緒子ちゃんだったが、年末に一緒に年を越したのは藤井サンだった。
奈緒子ちゃんは、年末は親と一緒に帰郷していた。
藤井サンは「クリスマスはごめんね。年越しもいつもは美術部のメンバーと泊まりでしてたんだけど…今年はK君と過ごしたい。K君の誕生日だし…」と言ってくれた。
ちなみに 12月に俺は美術部を退部していた。
俺は藤井サンと泊まりで年越しをする事にした。
ただ、困った事があった。
泊まるところが無かった。
きっと年末年始はラブホに空き部屋は無いって事は分かっていた。
それは奈緒子ちゃんとクリスマスイブに何件もラブホを回った経験があったから分かっていた。何件も回ってようやく一部屋あいているラブホを見つけた。
あの苦労を年末年始もする気力も気合いも無かった。
もう家に呼ぶしかなかった。
俺は事前に親に「大晦日に彼女が泊まりくるから」と伝えた。
母ちゃんは「えぇ?アンタみたいなのに彼女いんの?へぇ~」と訝しんだ表情をした。
大晦日当日、俺はバイトだった。
バイトが終わり近くのバス停に向かった。
藤井サンがバスで来る事になっていた。
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