窓から射し込む木漏れ日の光で私は、目が覚める。
永川「……ん?朝か……今何時だろ。」
時間を確かめようと、枕元付近を手探りしながらスマホを探しても、なかなか見つからなかった。
永川「あ、向こうだった。」
今になって、スマホを子供達の寝る部屋に置いてきたことを思い出した。
永川「7時半……くらいかな。」
私は太陽の光の具合等から、体感で時間を当てるのが得意だった。
永川「とりあえず、起きますか。」
私は布団から起きあがり、ベッドに取り付けられた簡易階段を降りた。
永川「ん……こりゃ、今日も良い天気になるね。」
私は窓の近くで背を伸ばし、体を目覚めさせる。
永川「………さて。子供達のとこ戻る前に着替えちゃうか。」
私はドラムバッグの中から、黒のレギンスとデニムのショートパンツ、黒色ノースリーブシャツを出した。
紺色のルームウェアを脱ぎ捨てると、下着が上下違う色であることに違和感を覚える。
永川「流石にこれじゃ変すぎ。」
私は、ドラムバッグのビニール袋から、昨日着けた白色のブラジャーを取り出した。
永川「ブラジャーは大丈夫なんだ。」
昨日着けたブラジャーを手に持って確認すると特に湿ってはいなかった。
昨日履き直したショーツも、既に違和感はなくなっていたので、そのまま昨日着けた下着で帰ろうと決めた。
背中に手を回して、紺色のブラジャーのホックを外す。
永川『上が沢山汗かかないかね。普通。』
そんなことを考えながら、ブラジャーを外し、白色のブラジャーを着けようとすると、自然と自分の胸が目に入る。
山口『やっぱ……雪の胸、大きくて形がいいよね。』
昨晩、山口君の発した言葉が頭をよぎる。
永川「はぁ……私も雪ちゃん程とは言わないけど、もう少し胸があったらなぁ。」
元々、童顔だったこともあり、そこに拍車をかけた、この幼い体型のせいで、私は昔から大人の女性みたいな容姿をしていた小坂さんにコンプレックスがあった。
もちろん、それは小坂さんが嫌い、とかではなく、憧れに近いものである。
そう考えながら、手にした白色のブラジャーを着用すると、ノースリーブシャツ、レギンス、ショートパンツの順に手早く着替え、パジャマと外した紺色のブラジャーをバッグの中にしまう。
最後に薄手の白いワンピースを着て、私は部屋を後にした。
階段を降り、水を飲もうと思いリビングに入ると、小坂さんがソファーで寝ていた。
永川『あ、雪ちゃん、こっちで寝たんだ。昨日私がいたのばれてないよね……』
私はリビング内を静かに歩いたが、途中で小坂さんが目を覚ました。
小坂「んー…………。」
彼女が起きた瞬間、私は別に悪いことはしていないのに、ビクリと体を強ばらせてしまう。
小坂「あ、永川。おはよう。」
永川「あ………お、おはよう。雪ちゃん。」
小坂「ん?あ、もう着替えたの。」
永川「う、うん。ちょっと水だけ飲もうと思って。雪ちゃん、こっちで休んだんだね!」
何となくの気まずさがあり、私は早口になってしまう。
小坂「うん。流石に男子と一緒の部屋じゃね(笑)もう、おばさんだけど、色々まずいかな、と思ったから(笑)」
そう話す小坂さんは、昨晩、山口君とあんな激しくエッチしてた雰囲気など微塵も感じさせない、いつものガードの堅い小坂さんに戻っていた。
永川「あ、そうだよねー(笑)」
とりあえず、私は机の上に置かれたグラスを取り、水を注いで一気に飲み干した。
永川「とりあえず、私、向こうで子供達の朝ごはん準備しちゃうね!」
小坂「あ、私も着替えたら、すぐ行く。」
永川「大丈夫、大丈夫。昨日のバーベキューの余りで適当に作るからさ。」
小坂「いや、悪いから。」
永川「気にしないで。じゃあ、先に行ってるね。」
小坂「うん。」
私は逃げるような感じで隣のコテージへと移動した。
永川『あー。あからさますぎだよー。』
私は突然の不意打ちを受けたみたいで冷静ではいられなかった自分を恥じる。
隣のコテージに着いて、二階で眠る子供達を起こす。
永川「ほら!皆朝だよ。起きて、起きて!」
カーテンを開けると、子供達の寝ぼけた声が聞こえた。
永川「お母さん、下で朝ごはん作ってるからね。ちゃんと、降りてきてよ。」
子供達を叩き起こして、私はリビングに降り、棚からフライパンを出して軽く油を敷いてコンロの火を点ける。
冷蔵庫から昨日のバーベキューで余った肉やソーセージを取り出して温め直した。
卵が1パック余っていたので、一緒に目玉焼きを作り始める。
二階からそれぞれ子供達が降りてきた。
永川「もう、ちょっと待ってて。」
子供達にそう伝えると、二人はリビングで遊びはじめた。
小坂「あ、永川ごめんね。ありがとう。何か手伝うよ。」
永川「あ、雪ちゃん。じゃあ、余ったお米でおにぎり握ってもらえると、ありがたいかも。」
小坂「うん。分かった。」
小坂さんは、ラップに包んだご飯をレンジで温め直すと、温かくなったご飯に塩をふりかけて、おにぎりを作り始めた。
小坂「海苔がないけど、塩おにぎりでいいかな?」
永川「うん。十分だと思う。」
やがて、児山君の家族も降りてきて、まずは児山君達の家族に朝食を出した。
児山君達の家族の後に私の子供二人と、おむすびに握り終えた小坂さんが食べる。
小坂「ごめんね。永川に面倒なとこばかりやらせて。」
永川「大丈夫。ここの予約取ってもらったりしてたからね。これくらいなら全然大変じゃないよ。」
小坂「いや、予約より皆の朝食作る方が大変だよ。」
永川「残りものだから。あ、雪ちゃん、帰り支度大丈夫?」
小坂「そんな支度する程は荷物はないんだけど、ちょっとシャワーだけ浴びようと思うんだけど、いい?」
永川「あ、いいよ!じゃあ、先に戻って浴びちゃってきて。」
小坂「ありがとう。」
そう言うと、小坂さんは、隣のコテージに戻っていった。
永川『ふぅ。やっぱり、何だか気まずいなぁ。』
数時間前の、友人二人のあんなリアルなエッチを見た後のせいか、私はどうしても、普通の精神状態ではいられなかった。
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