私は、リビングを覗いてみたけれど、案の定、そこには誰もいなかった。
永川『てことは、二人とも二階だよ…ね。』
私は廊下に出て、足音を立てないように、ゆっくりと階段を登った。
階段を折り返して二階の廊下が見えた瞬間、四畳部屋の扉の向こうから、声が聞こえてきた。
小坂「アンッッ!!!ダメッ!!!アンッッ!!!アンッッ!!!アッッッッ!!!アッッッッ!!!アッッッッ!!!ァァァァァッッッ!!」
私はつい両手で口を押さえてしまった。
永川『え?やばい!マジっすか!』
私は心の中で、そう叫んでいた。
声の主は、間違いなく、私の友人である小坂さんだった。
いや、正確には小坂さんの普段の声よりも高かったけれど、女がエッチで感じる時は、どうしても声が普段より高くなりがちなので、この声は間違いなく小坂さんの声だ。
永川『雪ちゃんって、絶対不倫とかするようなタイプじゃないと思ってたのになぁ。』
そう思いながら、二階の四畳部屋の中で繰り広げられているであろう、友人二人の不貞行為に私は少なからずショックを受けた。
小坂「アァァァッッッッ!!!アァァンッッ!!アッッッッ!!!ダメッ!!ダメッ!!待ってっ!汚れちゃうからぁっ!」
永川『そんなに激しいの?』
二人の関係にショックを受けた反面、私は小坂さんのあえぎ声を聞きながら、友人同士がエッチをしている状況、しかも、普段はそんな印象を微塵も見せない小坂さんが、山口君と何をしているのか、興味が沸いてしまった。
私はゆっくりと階段を登り終わって、四畳部屋の前に着いた。
小坂「アァァァァァッッ!!!アンッッッッ!!!イイッッ!!キモチイィッッ!!ァァァァァァッッッッ!!!」
扉1枚の向こうから聞こえる小坂さんの感じる声に私は聞き耳を立てる。
こうやって、生の女性のあえぎ声を聞くのは、中学2年の頃に、母親が夜中に1人でしていた時以来かもしれない。
私が小学生の時に父を病気で亡くして以来、母は、特に再婚もすることなく1人頑張って家族を養ってくれた母のあえぎ声は、なんだか寂しそうな切ないものに聞こえて、思春期の頃に普通ならば嫌悪感を抱く親の性行為を不思議と責める気にはなれなかった。
私はそっと部屋の引き戸を数センチだけスライドさせた。
扉を開いていた小坂さんのあえぎ声に、より臨場感が増す。
数センチの隙間から、私は小坂さんと山口君のエッチしている様子を覗き見た。
永川『わ。雪ちゃん、あんな激しいエッチするんだ。』
暗くて状況はイマイチ分かりずらかったけれど、小坂さんは仰向けに寝ながら腰を浮かせて上下に動かしていた。
小坂「アンッッ!!!アンッッ!!キモチイイヨッッ!!アァァァァァッッッッッ!!」
小坂さんの、大事な部分に山口君が手をあてがっており、小坂さんはその手から来る刺激に女の快感を丸出しにするようにしてあえいでいた。
私は、そんな小坂さんの姿に驚きを隠せなかった。
小坂さんは、高校時代は性に対しては人一倍奥手だったと思う。
例えば、学校に遅刻しそうで慌てて登校してきた時なんかは、下にキャミソールを着忘れただけで、ブラジャーが透けて見えることすら恥ずかしがって、その日は真夏日で1日中暑い日だったにも関わらず、学校ではずっとベストを着ていたりしたこともあった。
よしからエッチを迫られるようになり、暫くして別れたことからも、とにかく、自分が性の対象として見られることを嫌がっていた。
そんな小坂さんが、いざエッチをするようになったら、あんな激しい動きをするなんて、私には衝撃でしかなかった。
小坂「アッッ!!アッッ!!アァァァッッッッ!!ヤダッッ!!!ダメッッ!!イキソウッッッ!!イッチャウッッッ!!!アアァァァァァァッッッッッ!!!!」
永川『すっご。雪ちゃん、ホントに気持ちいいんだ。』
小坂さんが、つま先を立たせ腰を浮かせて逝っている様子を見て、私も変な気持ちになってきてしまった。
私も女なので、逝く時の気持ちよさは、多少なりとも分かっているつもりだった。
ただ、感じ方には個人差があると思うので、私の感じている快感が他の女の人ならどうなのか、は分からなかった。
けれど、今、扉の向こう側で逝っている小坂さんの様子を見ていると、きっと、自分も同じ刺激で感じちゃうんだろうな、と思った。
永川「……………ァッ」
私は気付いた時には立ったまま、自分のパジャマのズボンの中に手を差し入れていた。
永川『やだ。濡れちゃってる……』
パジャマの中のショーツに手が触れた瞬間のショーツの感触が、私の大事な部分が濡れ始めているような柔らかい感触になっていた。
私は、小坂さんの感じている姿に、母親が一人で自慰行為をして感じているのを重ね合わせるかのようにして見ていた。
そして、自分が生まれて初めて濡れてしまった時のことを今更ながら思い出していた。
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