受付「料金は、ご同行の方から全額お支払い頂きました。」
小坂「え?」
私は小坂さんと一緒に鍵を受付に返却し、料金の支払いをしようとしたところ、受付にそのように言われた。
鍵だけ返却して、受付を後にする。
山口「赤石だよ……」
小坂「流石……モテる男は去り際もモテる。」
受付の外で待つ永川さんと児山の家族に、料金は既に払われていたことを説明する。
永川「うわー。だって、いくらくらい?」
小坂「10万はいかないと思うんだけど……」
児山「後で払うから、とか言って先に帰りやがった、と思ったら……。」
小坂「今、LINE見たら、赤さんからメッセージ来てた。」
そう言うと、小坂さんはLINE画面を皆に見せる。
赤石『久々に楽しい時間をありがとうございました。ちょっと午後から都内で用事があるので先に帰ります。宿泊にかかったお金は全額自分が持つから、皆はそのまま何も気にしないで帰って下さい、と伝えて下さい。また会えるのを楽しみにしています。』
山口「うーわっ……」
児山「なんだか、向こうが1枚も2枚も上手だな。」
小坂「うん。あとで、皆赤さんにLINEしといてね。もう、私達だけで、ここで割り勘しても意味分かんないし。」
永川「確かに(笑)」
児山「いくつになっても、カッコいいやつはカッコいいままだな(笑)」
山口「そうだな(笑)しかも、嫌味な感じがしない、ってのがまた赤さんをイケメンにさせてる。」
その瞬間、残された4人で笑い合う。
永川「じゃ、私も帰るね。」
児山「俺は、子供達を午後まで遊ばせてから帰るよ。」
山口「そうか。俺達も帰らないとね。」
小坂「そだね。」
永川「あ、二人共、同じ車で来たの?」
小坂「うん。私は、車主人が使うから、山口君の車に乗せてもらった。」
永川「あー。そうなんだぁ。二人共、先に来てたから分からなかった(笑)」
永川さんは、何やら意味深な感じで話した。
山口「まぁ、働いてるのが一緒の店だから、それならと思ってさ。」
永川「そうだよね(笑)ガソリン代も、節約出来るしね。じゃあ、私はこれで。また機会あれば集まろうね!」
小坂「そうだね!じゃあ、また!」
山口「また。」
児山「元気でねー。」
永川さんは、手を振って乗ってきた車に乗車し、キャンプ場を後にする。
児山「さ!じゃあ、俺は子供達連れて林間公園行ってくるか!じゃあ、二人とも元気で!中尾さんとか、よしにも会ったらよろしく伝えといてね。」
山口「分かった。じゃあ、元気で。」
小坂「児山君、ありがとうね。また。」
そう言うと児山も、子供達を連れて公園の方へと去っていった。
山口「さて!俺達も行こうか!」
小坂「うん。」
小坂さんは助手席に乗車し、私も運転席に乗車すると、車のエンジンをかけてキャンプ場を後にする。
エンジンをかけ、車を発進させると、小坂さんが急に口を開いた。
小坂「あっちゃー。これは、永川に見られちゃったかもしんない……」
小坂さんは頭を窓ガラスにつけながら、頭を抱え込むような仕草をした。
山口「あ………やっぱり?」
小坂「うん……どこまで見られちゃったんだろ。」
山口「んー。とりあえず、さ。赤さんも、児山も首筋のこれ、どうしたの、って聞いてきたけど、永川さんは、一瞬目に止めたは止めたけど、何も言わなかったんだよね。」
小坂「そうでしょ?私、リビングのソファーで寝てたんだけどさ、永川がコテージに入ってきて、私が起きた瞬間慌てた感じで、若干よそよそしかったんだよね。」
山口「そっか……。」
小坂「いやー………あそこで途中コテージ入ってきてたとしたら絶対気付くもんねぇ……」
山口「あ………。」
小坂「なに?」
山口「そいえば、さ。小坂さん俺の上に乗ってる時、ほんの少しなんだけど、部屋のドアが動いたような気配したんだよね。」
小坂「え!?私、全然気付いてない。」
山口「いや、小坂さん、ドアに背中向けてたし。それに……」
小坂「それに?」
山口「小坂さんが思いっきり声出してた時だったから、気付かなくて当たり前かも。」
小坂「えー………じゃあ、言ってよー。終わった後でもいいから。」
山口「いや、俺も勘違いかな、って思うくらいだったから。」
小坂「それ、間違いなく永川だよ(笑)」
山口「だよねぇ。」
小坂「多分、途中で起きて、私がリビングいなかったから、無事にコテージに戻ってるのか確認に来たんだろうなぁ。」
山口「あー。そうかもしれない……。もし、永川さんに聞かれたら、俺が無理矢理そうしたんだ、って言ってよ。じゃないと……。」
小坂「いやいや。これは、私の考えが甘かっただけだから。大丈夫。気にしないで。永川にはちゃんと私から事情話すから。」
山口「うん。そしたら、美起のことも伝えてよ。」
小坂「そんなことしないよ。そしたら、中尾のせいみたいじゃん?」
山口「いや…まぁ……」
小坂「大丈夫だから(笑)女は女で色々話せば分かってくれるから。」
山口「そっか……」
小坂「とりあえず、まずは無事に家に帰ろう(笑)」
山口「はい。」
私はハンドルを切り、キャンプ場に一番近い高速のインターチェンジへと入った。
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