赤石「おい、山口。そろそろ起きないか?」
次に気付いたのは、赤石が私を起こす声だった。
山口「ん……今何時だ?」
赤石「もう少しで9時だ。」
山口「もう、そんな時間か。」
私が布団から上半身を起こすと、赤石は既に着替えを終えていた。
赤石「児山のコテージでシャワー浴びてきたらどうだ?永川さんが、昨日の余り物で、朝ごはん用意してくれてるぞ。」
山口「あぁ、そうなのか。じゃあ、そうしようかな。」
赤石「うん。そうすれば大分酔いも覚めるしな。ん?どうしたんだ?」
山口「なにが?」
赤石「これ、虫に刺されたか?」
赤石が自身の首筋を指差しながら言った。
山口「ん………あ………あぁ!そうかもしれない。」
私は一瞬分からずに、首筋辺りを触ったが、その時に小坂さんが強くキスをしていたのを思い出した。
赤石「あざみたいになってるぞ。じゃあ、俺は先に向こう行ってる。」
そう言うと、赤石はバンガローを出て、児山と永川さんのいるコテージへと向かっていった。
私も着替えを済ませて、コテージに行くと、丁度児山が出てきたところだった。
児山「お。山口おはよう。昨日は、ちょっと飲みすぎたな。こりゃやっぱ帰りは午後にしとこう。」
赤石「無理しないで、ちゃんと休んでから帰れよ。」
児山「おぅ。ちょっと駐車場まで散策がてら、酔い覚ましてくるよ。あ、今、永川さんが朝飯準備してくれてる、ってか、首どっか打った?真っ赤になってるよ。」
山口「あぁ。いや、昨日ちょっと変な虫に刺されたかもしんない。ぶよかなぁ。」
児山「あー。かもしんないなぁ。虫刺されの薬あるから持ってこようか?」
山口「ん、あるから、大丈夫だよ。」
児山「そうか、分かった。あ、シャワー使うなら使っていいからね。」
山口「サンキュ。」
そう言って児山は駐車場の方に向かい歩き出していった。
コテージ内に入ると、赤石が席に座り朝食を食べていた。
昨日のバーベキューで残った肉を温め直したものと、目玉焼きにご飯というシンプルなものだった。
永川「あ、山口君おはよう。朝ごはん、食べるでしょ?」
山口「あ、うん。ありがとう。あれ?小坂さんは?」
永川「雪ちゃんなら、もう食べて終わって向こうのコテージの片付けがてら、シャワー浴びてくるって。」
山口「永川さん、朝早いね。」
永川「ん?昨日、皆程は飲んでなかったしねー。私は以外と目覚めいいよ(笑)」
山口「そっか。」
永川さんは、バーベキューの肉やソーセージの乗った紙皿にフライパンから焼き上がった目玉焼きを乗せると、紙皿を持って私の方に向いた。
永川「はい、出来……」
永川さんは、私の首筋のあざに視線がいき一瞬だけ動きが止まったが、赤石や児山と違い、特にそのことに触れることなく、すぐに笑顔を見せた。
永川「出来たよ。とりあえず、赤石君の前の席に置いとくね。」
山口「ありがとう。」
永川「そろそろ雪ちゃんシャワー終わっただろうから、私、あっちのコテージで子供達着替えさせたり、帰り支度整えてくる。おにぎり、一緒に置いてあるから、全部食べちゃってね。」
山口「うん。」
そう言うと、永川さんは二階に登っていったので、私は浴室でシャワーを浴びた。
シャワーを浴びてリビングを出ると、赤石が既に朝食を食べ終えて、紙皿をゴミ袋に捨てていた。
赤石「お、山口出たな。じゃあ、俺もシャワー浴びようかな。」
そう言って赤石が私と交代で浴室へと入っていった。
私はリビングに座り朝食を食べると、二階で遊んでいた児山の上の子供が降りてきた。
児山子供「あれ、うちのお父さん、どこ行ったか知ってます?」
山口「ん?駐車場まで行ったんじゃないかなぁ。」
児山子供「そうですか。まだ遊んでて大丈夫なのかなぁ。」
山口「まだもう少し大丈夫だと思うよ。」
児山子供「ありがとうございます。」
そうして児山の子供は二階へ登ると、また遊び声がコテージに響き渡る。
暫くして児山がコテージに戻ってきたところで私も朝食を食べ終えて、片付けを始めた。
児山「お、食べ終わったか。皿はゴミ袋入れといてよ。後で俺が捨てに行くから。」
山口「ありがとう。じゃあ、俺バンガロー戻って帰り支度してくるわ。」
児山「おぅ。俺もとりあえず片付けて、コテージは明け渡さないとな。」
そう言って児山は二階へと登っていった。
私は洗面所から赤石に声をかけた。
山口「赤石、先にバンガロー戻ってるぞ。」
赤石「おぅ、分かったー。俺もすぐ行く。」
そうして、私はコテージを後にしてバンガローへと戻った。
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