私達は時間を忘れるようにして、昔話や、くだらない話、時には愚痴っぽい話をして飲み続けていた。
永川「あ、やっば!時間忘れてた!子供達どうしただろ!?」
児山「あ……。忘れてた(笑)」
永川さんが子供達を確認するために立ち上がろうとしたが、立ち上がった瞬間にバランスを崩すように後ろへ倒れてしまう。
永川「いっったー……」
永川さんがお尻の辺りを抑えながら、悶絶の表情を見せる。
山口「大丈夫?」
私が心配そうに声をかけると、隣に座っていた小坂さんが、永川さんの背中をさするようにして声をかけた。
小坂「永川、あんまりお酒あんま強くないのに、飲み過ぎちゃったでしょ。」
永川「雪ちゃん、ありがとう。確かにちょっと飲み過ぎかも…」
永川さんが苦笑いを浮かべながら答えた。
児山「俺がちょっと見てくるよ。」
そう言いながら、児山は立ち上がり二階へと登るが、児山も足下が若干ふらついていた。
少しすると、児山は静かに階段を降りてきた。
児山「皆、ぐっすり寝てしまってる。」
永川「あっちゃー。やっちゃった…。向こうのコテージ連れてけるかなぁ。」
赤石「いや……皆飲んでるから、階段降りたり登ったりは、何かあってからでは大変だから、そのままの方がいい。」
児山「じゃあ、今1つのベッドに三人寝ちゃってて、密度がすごいから、うちの娘をもう1つの部屋に移動させるよ。永川さんの子供はそのまま寝かせといて。」
永川「児山君、ごめーん。」
児山「大丈夫、大丈夫。」
そう言いながら、児山は自分の娘さんを、もう1つ空いている部屋の方へ移動させに、また二階へと上がっていった。
児山「ふー。オッケー。一応、電気消しといた。」
永川「ホントごめん。」
児山「気にしない、気にしない。それより、今日寝る場所どする?永川さんがよければ、そのまま子供さんと同じ部屋で寝てよ。」
永川「うん。そうさせてもらっていいなら、そうしようかな。」
児山「俺は娘と同じ部屋で寝るよ。」
小坂「ん?そしたら、私がバンガロー行こうか?」
山口「いや、向こうのコテージに寝てよ。」
小坂「えー。何か悪いなぁ。」
赤石「いや、この場合は当然小坂さんがコテージだよ。」
山口「うん。そうだよ。」
小坂「じゃあ、そうする。」
児山「でも、とりあえず、まだお酒あるから、飲んじゃわね?(笑)」
永川「いやー。私、明日の運転があるから、もう寝るわ(笑)」
児山「あ、そっか。俺は、酔いが覚めるまで明日はここで遊んでく予定(笑)」
永川「うちは遅すぎると夫が怒るから(笑)今日も、渋々だったしなぁ。」
赤石「やはり、結婚ってのは大変だね。うちは、会社の部下が迎えに来てくれる。」
児山「いやー、今のご時世、それってパワハラじゃね?」
赤石「ん?向こうから、そう言ってくれたんだよ。」
山口「え?今時そんな人がいるの?」
赤石「いや、以前から俺にゾッコンな女性でね。」
児山「出ました(笑)流石イケメンは違うね(笑)」
永川「えー、でも、上手く利用してる感じがするんだけど(笑)」
赤石「そんなことはない(笑)ちゃんと、ギブアンドテイクな関係だよ。」
児山「うわ!何かいやらし!(笑)」
小坂「赤さんは、それが許されちゃうからねぇ。ちなみに、高校時代何人に告白されたの?」
赤石「ん?正確には数えてないけど、上級生、下級生含めれば、30人くらいかな。」
山口「流石すぎる(笑)」
小坂「いや、でも赤さんなら頷けるよ。だって、私も入学式の時に一目惚れしちゃったし(笑)」
永川「え!?そうなの!?初耳(笑)」
児山「マジ!?」
皆、小坂さんの突然の告白にびっくりしていた。
もちろん、私もだ。
小坂「うん(笑)実はさー、当時付き合ってた彼氏ふった理由もそれ(笑)」
赤石「いやー。その彼氏さんに申し訳ないなぁ。」
小坂「いや、多分、赤さんがいなくても別れてたよ(笑)」
赤石「そっかぁ。でも、それは当時の俺には分からなかったなぁ。」
小坂「だよね(笑)ほら、私の友達の春奈いたでしょ?彼女が先に赤さんに告白してさぁ。」
赤石「春奈……春奈……。あぁ、2組の?」
小坂「そう。春奈、私同じ中学なんだけどさ、春奈から赤さんにフラレた話聞かされて私も一緒に諦めがついた(笑)」
赤石「そうなんだぁ。いやぁ、でも山さんなら、もしかしたらチャンスあったかもしれないなぁ(笑)」
小坂「はいはい(笑)嘘言っちゃダメだよ(笑)当時、彼女いたんでしょ?(笑)」
赤石「なんだー、ばれてたかぁ。」
山口「いや、うちら皆知ってたから(笑)」
永川「うん(笑)知らないふりしてたけど、知ってた(笑)」
赤石「え?そうなの?いやー。当時の彼女さ、芸能事務所入ってて、だから、事務所にも内緒にしなきゃいけなかったんだよなぁ。」
児山「そうなの!?誰誰!?」
赤石「いや、彼女は結局売れなかったから、皆知らないよ。別れた後に、結局引退したし。綺麗ではあったんだけどね。」
山口「へぇ~。赤さんが言うくらいだから、相当だろうね。」
小坂「芸能人なんて、私達じゃ敵うわけないな(笑)」
何だかんだと言いながら、永川さんを除く皆が再び飲み始めていた。
そして、とうとう永川さんが眠さの限界を迎え、寝室に入り、児玉も永川さんに続いて寝室に入った。
私は軽く片付けをしようと立ち上がる。
赤石「あ、俺も手伝うかな。」
赤石はそう言って立ち上がるが、やはり赤石も大分飲んだせいか、足下が千鳥足になっていた。
山口「おい、おい。大丈夫かよ。」
私は、倒れそうな赤石の体を支えた。
赤石「すまない。俺も大分回ってるな(笑)」
山口「えぇ?それじゃ、危ないからバンガローまで一緒に行くぞ。」
赤石「山口は大丈夫なのか?てか、眠くならないのか?」
山口「あぁ、俺も明日は運転あるから、実はそんな沢山は飲んでないんだ(笑)それに、仕事柄、たまに夜勤もやるから、慣れてる。」
赤石「そういうところは、相変わらず真面目だな(笑)」
山口「さ、行くぞ。」
赤石「う~ん。すまない。じゃあ、一緒にバンガロー行くか。」
山口「分かった。小坂さん、片付けは後で俺が……」
小坂さんに先にコテージに戻るように言おうと彼女の方を振り向くと、小坂さんはソファーにもたれかかるようにして、うつらうつらとしてしまっていた。
赤石「どうした?」
山口「………いや、なんでもない。行くか。」
赤石「あぁ。」
私は、それ以上小坂さんに声をかけることなく、赤石を連れてバンガローへと向かった。
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