小坂「おいしかった。」
吉本「やっぱり、パスタは店を選ばないといけないよね。」
小坂「何か、安っぽいしったかぶり感が半端ないけど(笑)」
吉本「ばれたか(笑)」
小坂「で、さっきの続き。」
吉本「うん。」
小坂「ぜっったいに知らないフリしないとダメだからね。」
吉本「分かってるよ。」
小坂「実は、中尾さ……山口君との子供、最近堕ろしちゃったんだよ。」
吉本「…………………は?」
小坂「本当だよ。」
吉本「…………………。俺は………。」
俺は山さんの言葉に何も答えることが出来なかった。
小坂「いや、よしは知らなかったんだから悪くないよ。……いや、悪くない、は語弊あるかもしれないけど。」
吉本「だから、今二人は距離置いてるの?」
小坂「うん。二人の間ではまだ解決出来ないことが山積みだからね。だから、多分、中尾も昔からの友達のよしだから安心してたんじゃないかな……。」
吉本「そう……なんだ。」
小坂「お世辞にも、それが、いいこととは言えないけど……。でも………、私には……。」
山さんは、それ以上は言葉を噤んだ。
俺が言っても、何も説得力はないかもしれないが、俺は言わずにはいられなかった。
慎重に言葉を選ぶようにして俺は口を開いた。
吉本「山さん、俺が言っても説得力ないかもしれないけど、中尾が俺とセックスしたこと自体は、中尾が悪いんじゃないよ。何も知らない俺が中尾の弱さにつけこんだだけだから。その前提で言わせてもらうとさ。」
小坂「うん。」
吉本「やっぱり、俺は例えその事実を知っていたとしても、中尾が俺を求めるなら、俺は中尾としてたと思う。」
小坂「うん。」
吉本「だって、人って、それぞれ悩みを抱えてる中で、それをどこかで発散させなきゃいけないと思うんだよ。それは、世間では許されてないかもしれないけど、でも、身体に快感を与えることで、それが発散されるのも、また事実だと思う。」
山さんは、珍しく俺の言葉に真剣に耳を傾けている。
吉本「睡眠欲、食欲、それに性欲。皆、隠しちゃいるけど、人間の本能に一番正直になるのが、性欲だと俺は思う。だから、俺は一番強い欲は性欲だと思ってる。そうすると、性欲を満たすことで自分自身が壊れないようにコントロールする人がいるのは当たり前だと思う。」
小坂「………、何だか変な気もするけど、うん。そうやってバランス取ることもあるよね。そこは、私も完全には否定しないかな。」
吉本「うん。でも、やっぱり、それ自体は許されないことも沢山あるし、世間は認めてくれないから。だから、俺はぐっちゃんに、これを言うことはしない。二人とも傷付けるだけだから。だから、山さんも、頼むよ。」
小坂「………うん。私も……言えないよ。」
吉本「とりあえず、俺は俺なりに、中尾をサポートするし、山さんは、ぐっちゃん助けてあげてよ。」
小坂「分かった。なんか、初めてよしがまともなこと言ってる気がする(笑)内容変だけど(笑)」
吉本「ひどいなぁ(笑)山さんも、いつでもいいんだよ?俺頼って(笑)」
小坂「お断りしますっ!」
そうして、二人で食後のコーヒーを飲んで俺は山さんと品川駅で別れたのであった。
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