翌日、俺は少し早めに昼休憩をもらい、品川駅へ向かった。
落ち合う予定場所の高輪口に到着すると、山さんは既に到着していたので、俺は彼女に声をかけた。
吉本「お久しぶりでーす。」
小坂「あ、久しぶり。ごめんね。急に呼び出したりして。」
吉本「いやいや、山さんに呼ばれたらどこでも行きますよ。それより遠かったんじゃない?」
小坂「んー。一時間半かな。」
吉本「だよねー。こっちこそごめんね。」
小坂「私が呼んだんだから、当たり前だよ。じゃあ、お昼何食べようか?」
吉本「なんでもいい?」
小坂「うん、この辺、よしの方が詳しいもんね。」
吉本「ほーい。じゃあ、パスタで。」
小坂「うん。分かった。」
俺は話の内容が内容になりそうだったことを予想し、前日から調べておいた、個室のある小洒落たパスタ屋に入った。
小坂「相変わらず、女子受けしそうなところ知ってるんだね。」
吉本「そりゃ、もちろん。山さんのために、この店探し当てたから。」
小坂「はいはい、ありがとー、ありがとー。」
山さんは、棒読みでお礼を言った。
お互いに、軽く雑談しながら、ランチセットを注文し終えると、山さんがおもむろに真剣な表情になる。
小坂「でさ……、呼んだ理由なんだけど。昨日のLINEの流れから、何となく分かるよね?」
吉本「あー、ぐっちゃんと会えなかったこと?」
小坂「うん。」
吉本「それが何か?」
小坂「いや、真剣に答えてほしいんだけど、誰と会った?」
吉本「誰と、とは?」
小坂「よし自身が分かってるじゃん。てか、嘘ついたらすぐ分かるからね。」
吉本「……………。いやさ、もう知ってるんでしょ?」
小坂「うん。」
吉本「で?どうするの?ぐっちゃんに言うの?」
小坂「言える訳ないじゃん。」
吉本「そうなの?てっきり、俺、山さんがぐっちゃんのために俺を怒りにきたのかと思ってたよ。」
小坂「怒りに来た訳じゃないの。それよりも中尾のことは本人から聞いた?」
吉本「ん?中尾からは、ぐっちゃんと距離置いてる、としか聞いてないよ。」
小坂「そうなんだ。で、中尾としたの?」
吉本「ま………まぁ。」
小坂「ふ~ん。いや、別にそのことをとやかく言いに来た訳じゃないんだけどさ。中尾の様子どうだった?」
吉本「え?いやいや、それは流石にここじゃあ言えない(笑)山さんも、同じことさせてくれたら分かるよ(笑)」
小坂「バカじゃないの。そんなこと聞いてるんじゃないの。もっと、真剣に聞いてよ。中尾、いつも通りだった?」
卑猥な冗談を言ってみたが、山さんは相変わらず、俺の下ネタには、取り付く島もないし、この調子じゃあ、やっぱり、山さんとセックスに持ち込める男はなかなかいないんじゃないかと内心で思ったが、彼女の真剣な表情に俺も真面目に土曜日の中尾の様子を思い返した。
吉本「んー……………。今思うと……いや、あれは普通じゃない、ね。だって……」
答えを言おうとしたところで注文したパスタが運ばれてきたので、しばらく、お互いに無言になる。
店員が厨房に戻ると、山さんは再び口を開いた。
小坂「やっぱり、普通じゃない……か。」
吉本「だってさ………。こんな俺が自分で言うのもおかしいけど、ホテル誘ったら普通に一緒に入ってくれたんだぜ?あの時はそこまで深く考えなかったけど、確かリハビリとか何とか言ってたよ。」
小坂「そっか……。やっぱり。」
吉本「俺、あんまり詮索しないタチだから、中尾にもぐっちゃんにも、聞かなかったけど、そもそもあの二人なんで距離別れちゃってるの?」
小坂「う~ん。話したら、もう昼食べる気分じゃなくなるかも。」
吉本「あ、じゃあ、食べちゃおう(笑)」
小坂「うん。」
そう言いながら、二人でしばし無言のままパスタを口に運んだ。
そして、食べ終えてから、俺は山さんに衝撃的なことを聞かされた。
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