三連休最初の土曜日になった。
私は午後5時に仕事を終わらせて、自宅に帰り、シャワーを浴びてから待ち合わせ場所の居酒屋前に到着した。
居酒屋前には先に小坂さんが到着していた。
今日の彼女は、水色のワンピースと白いカーディガンをしており、相変わらず、女性らしさが際立っている。
山口「あ、ごめん!遅れた!」
小坂「大丈夫(笑)時間通りだよ。山口君仕事だったんだから、私が先に着いてないと逆に申し訳ないから(笑)」
山口「相変わらず、そういうとこ、ホントきっちりしてるよなぁ。美起なんて、いつも遅れて来てたからな(笑)」
小坂「中尾はそういう仕様だから(笑)」
山口「だよな(笑)慣れたけど(笑)」
小坂「さ、入ろっか。」
山口「うん。」
私は、小坂さんの後に続いて店に入る。
前回と同じく、半個室の部屋に通され、私はビールを、小坂さんはウーロンハイを注文した。
小坂「じゃあ、まずは、第二四半期の成績おめでとう。」
山口「ありがとう。」
軽い乾杯をしてお互いに頼んだ飲み物を口に運ぶと、前回に増して吸い口が良い。
山口「うわー、今日は、一気に入っていったな(笑)」
小坂「そうだね(笑)」
見ると小坂さんのグラスも空いている。
山口「あれ!?小坂さんも、一気に飲んじゃったの!?」
小坂「うん(笑)でも、山口君みたいにビールは炭酸あるから無理だよ(笑)」
山口「あー。そうだよねぇ。美起と一緒ならゲップしてるよ(笑)」
小坂「汚いなぁ。一気に飲むからじゃん(笑)」
山口「あ、ちょっと待った!」
胃から二酸化炭素が逆流している感を私は急いで飲み込む。
小坂「あ、今飲み込んだでしょ(笑)」
山口「ごめん、ごめん(笑)でも、出さなかったから、許して。」
小坂「それはどうかなぁ。」
小坂さんが、笑いながら首をかしげる動作をする姿を見て、私は高校時代にこれを見ていたらきっと、よしじゃなくて自分が彼女にアタックしていたかもしれないな、と内心で思った。
小坂「さ、お代わりしちゃお。」
小坂さんは、店員を呼んで追加の飲み物を頼んだ。
その後、私達は第三四半期に向けた目標について話し合う。
小坂「でも、夏はアイスの売上は案外バカに出来ないのよねぇ。」
山口「アイスね。ただ、あれも実際コンビニだと難しいんだよね。主婦ならスーパーで買うでしょ?」
小坂「そりゃね?スーパーの方が安いし。でもね、この時期は子供が友達と一緒にお小遣いで買いに来る需要あるから、私の中ではある程度ターゲット絞ってる。あと、スーパーが閉まった後の需要取り込みも大切だから、その辺りは山口君しっかりね(笑)」
山口「分かっております。」
小坂「あとは、ドリンクは、この時期は夏祭りな感じのお酒が大切だよね。もちろん基本的に入荷しなきゃいけないお酒はあるけど、何がいいかなぁ。」
小坂さんは、スマホを取り出して操作を始め、やがて、私の前に置いた。
小坂「これなんかどう?」
小坂さんのスマホ画面にはお酒の通販サイトが表示されていた。
小坂さんも、かなり熱心に調べて考えていてくれたことに私は脱帽する。
山口「あー、これはチェックしてなかったなぁ。」
小坂「でしょ?案外大人って、懐かしいデザインに惹かれたりするから、ありだと思うんだよねー。」
山口「ちょっと今度本部にも扱いがあるか、聞いてみる。」
仕事の話なのに、仕事とは感じさせない楽しさがあり、あっという間に時間は過ぎ去っていった。
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