ゴトンッ
快感の波に負けて、握力を失った私の手からスマホが離れ落ち、ソファから床に落下する音が部屋に響く。
桔平「ハァ……ハァ……ハァ……」
イヤホンから聞こえる桔平さんの荒れた息遣い。
私は、声が出るのを我慢しながら、ソファの背もたれクッションに後頭部を当てて絶頂の波を味わう。
時間にして、十数秒という時間だったけれど、私の頭の中は真っ白になり、全身が痙攣したかのように震えていた。
やがて波が少し落ち着いたところで、私は床に落ちたスマホを拾った。
スマホの大画面には、桔平さんが自身の男性器にタオルを押し当てているところだった。
私はすぐさま通話終了のボタンを押す。
ゴトンッ
再びスマホが床に落ちる音が響く。
永川「……ッ……ハァハァハァハァハァハァハァハァハァ」
声を押し殺していた私は、水面から上がったかのごとく、呼吸が荒れていた。
何もしていないのに、イッてしまったことを桔平さんに気付かれたくなかった。
まだ私は身体の内側から熱くなる感覚が収まらなかった。
永川『もうダメ……』
私はすぐに浴室に向かう。
ぐしょぐしょに濡れたショーツを脱いで洗濯機の中に投げ込むと、私は浴室のドアを開いて、シャワーノズルを手にしてお湯を出した。
シャァァァ……
シャワーが流れ落ちる音が浴室に響く。
永川「ッッッ!!!ァァァァァアアッッ!!!」
ノズルヘッドを隠部に押し当てた瞬間、私は、クリトリスに当たる水圧だけでまた絶頂を迎えていた。
全身が再び痙攣する。
浴室の壁に身体を預けるようにして、倒れないように全身を支えた。
永川『あぁ………もうダメだ……』
私の脳内は完全に桔平さんの精子を欲していた。
床に落ちた大量の精液、私に向けて勢いよく発射された精液の映像。
あの精子を私の子宮内に出してもらいたかった。
何なら桔平さんとの子供を作りたい、産みたい、という考えがイッている最中は頭をよぎっていた。
永川「ハァハァハァハァハァハァ………」
絶頂の波が落ち着いて私は火照った身体を冷ますためにお湯の温度を下げて、頭からお湯を被った。
永川「40過ぎのおばさんとの子供なんて、いる訳ないじゃん……」
私は自分に言い聞かせるように呟いた。
シャワーを浴びて終わり、私は浴室を出て、洗濯機の上に置きっ放しにしていたTバックを履いた。
永川『う~ん。やっぱり、違和感。』
そのままリビングに行き、床に落ちたブラジャーを着けてからパジャマを着ると、スマホを再び手に取った。
桔平さんからカカオでメッセージが届いていた。
(桔平)
ありがとうございました。
永川さんの姿、最高でした。
また明日以降も連絡していいですか?
永川「う~ん……深みに入っちゃいそうだけど…」
そう言いながらも、私自身これで桔平さんとの関係が終了してしまうのは寂しい気持ちもあった。
(永川)
そんな風に言ってくれて、ありがとうございます。
子供のことで色々と忙しいこともありますが、時間ある時は大丈夫です。
桔平さんも、ご自身が忙しいでしょうから、無理はしないで下さいね。
今日はもう休みます。
おやすみなさい。
メッセージにすぐに既読マークが付くと、数秒後には返信が来た。
(桔平)
ありがとうございます。
おやすみなさい。
カカオの画面を閉じると、私はLINEに夫からメッセージが届いていたことに気付いた。
(永川夫)
出張伸びるかもしれない。
分かったらまた連絡する。
永川「やっぱりね……」
何となく予想は付いていたので、私は驚きもしないし、特に何の感情も湧かなかった。
私は夫のメッセージに返信をすることなく、リビングを軽く片付けてから寝室へと向かった。
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