小坂「あー、山口君、何か今日忙しかったね(笑)」
小坂さんは、背中を伸ばしながら私に言った。
背中を伸ばすと、自然と胸の脹らみが強調される。
山口「ごめんねー。中々人雇えなくて。」
小坂「いやいや、大丈夫(笑)やっぱり、売上厳しいの?」
山口「うーん。まぁ、去年来た時に比べれば少しは改善してきたけど。まだ、厳しいかもなぁ。」
小坂「そっかぁ。でも、山口君あまり無理して体壊さないようにね。」
山口「うん、サンキュ。あ、そういえば、小坂さんに聞きたいことあってさ。」
小坂「なに?」
山口「今度の新作スイーツって、何がいいかなぁ?」
小坂「なになにー。」
そう言いながら、小坂さんはデスクトップのパソコンの画面を覗き込む。
山口「スイーツは女子に聞く方が分かるかなぁ、と思ってさ。だから、山川さんの意見を聞きたいな、と。あ、ごめん、旧姓だった。」
小坂「あははは(笑)いいよ、別に(笑)山口君は、そっちの方が通じやすいし、私も分かるから(笑)」
彼女は旧姓が山川で、高校に入学した時、私とは席が近かった。
山口「まぁ、そうだけどさ。社会人としては正しく呼ばなきゃいけないでしょ。」
小坂「そうだね(笑)そういうところは相変わらず、しっかりしてて良いね。」
小坂さんは、画面に写し出されたスイーツを眺めながら言った。
私は椅子に座りながら、彼女の顔を見上げた。
お互い、40を過ぎたところで、確かに年相応に年齢を重ねた感はあるが、彼女は高校時代の面影をまだしっかり残している。
特段美人という訳ではないが、付き合っている男子がいてもおかしくない容姿をしていた。
しかし、高校時代の制服姿では気付きずらいが、私服姿になると細い体型の割に意外と膨らみのある胸を見て、夜のおかずにしている、という男子もいたし、事実、私もその一人だった。
見上げた際に半袖の隙間から見える彼女のわきの部分を見た瞬間にそんな思い出が一瞬頭をよぎった。
小坂「そうだなぁ。」
真剣な眼差しでパソコンの画面を眺める彼女。
自分もおっさんになったな、と思いつつ、彼女の、無防備に見える二の腕からわきの部分を少しの時間堪能し、パソコン画面に視線を戻した。
小坂「やっぱり、この辺は子連れも多いし、高すぎても、所詮コンビニのスイーツじゃ親の財布の紐は緩まないよね。」
山口「だよなぁ。そうなると、やっぱりいつも通りの感じで発注したいけど、本部からのノルマもあるんだよねぇ。」
小坂「そうなると、POP展開しっかりやって子供の目から見ても映える感じにするのが大切だよねぇ。まぁ、どこもそうするんだろうけど。」
山口「うーん。何か良い手はないかなぁ。」
小坂「あ、でも、このバナナ使ってるスイーツは母親から見ても手頃な感じあるかも。」
山口「お、それね。価格も多少なり抑え気味だし、いい感じだよね。ありがとー。やっぱり持つべきは友だね(笑)」
小坂「大した意見じゃないけど(笑)」
山口「全然助かります。」
小坂「じゃあ、私上がるね。主人今日家で子供見てくれてるから。」
山口「あ、そっか。ごめん、ごめん。お疲れ様でした。」
小坂「お疲れ様でした。」
そう言いながら、小坂さんは、バックヤードを後にした。
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