永川「あった、あった。」
翌日、私は、実家に戻り、自分の部屋のクローゼットから高校の制服を取り出した。
永川「うーん。やっぱり、一部カビが生えてるな。」
よく確認すると、ブレザーの肩の部分や背中に白いカビが着いていた。
実家は築30年以上が経過して、換気システムもないので仕方ないと言えば仕方ない。
とりあえず、固く絞った雑巾やブラシを使って制服についたカビを落とす。
永川「う~ん。とりあえず、目に見えるカビは取れたけど、あとはクリーニング出せばいいかな。」
私は制服を眺めながら呟く。
T駅前のクリーニング店に出せば、娘の制服を出しにきたと思われるだろう。
私は自宅から持ってきたトートバッグの中に制服をしまう。
リビングで母親と他愛ない日常会話をしてから、お昼を食べると、私は制服を持って駅前のクリーニング店に行った。
クリーニング店でカビ取りのオプションを追加すると、5000円もかかってしまった。
永川「高いなぁ。これは、山口君に請求ものだな。」
仕上がりは明後日の朝以降ということだったので、山口君の家に行く前に受けとれば丁度よかった。
私は控えを財布にしまい、自宅に帰宅した。
翌日の夜は、普段ならば子供達がお風呂に入った後にすぐにお風呂に入って夫の帰宅を待つルーティンを変えて、夫が帰ってくるまではお風呂に入らずにいた。
やがて、夫が帰宅する。
永川「おかえりなさい。」
永川夫「あれ?風呂入ってないのか?」
永川「うん。ちょっと今日忙しくて。あ、今ご飯準備しちゃうね。」
永川夫「あぁ。頼むわ。」
私が食卓に夕飯を出すと、夫は何も言わずに食べはじめた。
永川「ちょっと。いただきます、くらい言えない?」
永川夫「なんだよ。急に。」
永川「いや、いつも、言わないからさ。」
永川夫「何か、機嫌悪いな。いただきます。」
永川「はい。」
夫は、渋々と私の注意を聞いた。
子供でも出来ることが大人になると急に出来なくなる理由が私には理解不能だ。
永川『そんな基本的ことすら言わなきゃ出来ないんだから、いつまでもうだつが上がらないのよっ!』
私は心の中で夫を罵った。
夫はご飯を食べ終えると、無言のままお風呂に入った。
きっと、私に注意されたことで不機嫌になったのだろう。
私は夫の食べ終わった食器を片付けて、食洗機に入れると、スマホを見ながらソファーで一休みした。
夫はお風呂から上がると、ソファーに座りテレビを見始めた。
逆に私はソファーから立ち上がってお風呂に向かった。
お風呂に入ると、私は浴槽の栓を抜いた。
今日は何となく夫が入った後のお湯につかる気になれなかった。
私は、いつもよりも丁寧に身体を洗った。
浴室の鏡に写る自分の身体を見ると、改めて自分の胸の小ささに悲しくなってしまった。
子供を産んだら、胸が大きくなって垂れる、と聞いていたけれど、私の胸は垂れる程大きくなってくれなかった。
永川「せめて、Cくらいあったらなぁ。」
そう独り言を呟いて、私は身体についた泡をシャワーで流した。
お風呂を出た時には、夫は既に寝室に入っていたので、ムダ毛処理用のカミソリを手にして再び浴室に入った。
普段目に付くところは、こまめに手入れしていたが、今日に限っては、普段目に付かない箇所も念入りに手入れした。
永川「下の方も見られちゃうんだよね。きっと。」
私は、次男を妊娠以来していなかった陰毛の手入れについても、せっかくの機会にやっておくことにした。
永川「よし。これで大丈夫かな。」
私は全身をもう一度シャワーでよく洗い流し、浴室を出た。
何だか、年甲斐もなく、ワクワクしてしまっている自分がいた。
きっと、明日は間違いなく緊張しちゃっているのは予測がついているが、せめて今くらいは楽しもう。
私はバスタオルで全身を拭いた後に、保湿剤を全身によく馴染ませる。
永川「あー。せっかくだから、新しい下着も準備すれば良かった。」
私は自分の準備の甘さを痛感しながらも、数着ある下着のうちの、とりあえず一番新しいキャンプ初日の時と同じ白色の下着を着けることにした。
髪の毛もよく乾かしてから、顔にもしっかり保湿ローションを馴染ませた。
永川「さて、あとは明日はどうなっちゃうか分からないけど、よく休もう。」
私は、リビングで家事のやり残しがないことを確認してから、リビングの電気を消して寝室に向かった。
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