先にお風呂を出たのは僕でした。廊下を覗き、誰もいないことを彼女へと伝えます。
すると、風呂場からは安心をしたひろみさんがお湯を流し始めるのです。
時刻は午後10時前。夫婦の時間にはまだ早く、のんびり彼女とリビングで過ごしていました。
そんな僕は窓を開けて、彼女の家の大きな庭に目をやります。そこから見えたのは、木で作られた古いベンチ。
僕はそこにあったサンダルを履き、ベンチに向かいます。きっと、ひろみさんとの時間をもて余していたのです。
外は少し肌寒く、そしてとても静かでした。ここは、テレビで観る『田舎』そのものです。
そんな時、閉めていた扉が開きます。ひろみさんでした。彼女もサンダルを履き、こちらへとやって来ます。
『外、寒いでしょ~?中に入らないとぉ~?』
そう言いながらも、隣へと座った彼女。パジャマの上には、防寒着が羽織られています。
空を眺める彼女の目はとても純心で、さっきまでお風呂場で歓んでいた目とは思えません。
そして、握られる手と手。僕は一度、家の方を見返します。その家はもう、リビングにしか明かりが灯ってはいません。
みんな、寝てしまっているのです。
確認をした僕は、ひろみさんにそっとキスをせがみました。彼女は快く受け入れてくれます。
キスをした僕の手は彼女の膝へ、彼女の手は僕の膝へと置かれました。
見つめ合いながら、その手が内ももへと滑り降りて行ったのは、どちらの手が先にだったのだろうか。
ひろみさんの手が、僕の股間にあてられた。特に何をする訳でもなく、パジャマの上へとそっと置かれているのだ。
僕はその手に、自分の手を重ねました。ぐっと押し込んであげれば、ひろみさんと言えども僕のモノを握り締めてくるのです。
風呂あがりの萎れたチンポでしたが…。
『みんな、寝てしまっている。』
家の方を見渡した時、僕はそう思っていました。しかし、ある目の存在を見過ごしてしまったようです。
2階の一番奥の部屋の窓に映る二つの目。その目は、庭のベンチに座る僕たちを見ていました。
口づけをし、今またお互いの身体に触れ合う姿を、その窓から見てくれていました。73歳になるひろみさんの母親でした。
旦那を事故で亡くした娘のツラさは、いつもそばにいた母親の彼女が一番分かっています。
その娘が今度こその男性を連れて来て、彼と目の前で愛し合っています。心配をしていた母親としては、何よりの光景でした。
二人を窓から覗き見ていた母親のかかとがゆっくりと上がり始めました。見えづらくなったのではありません。
今の彼女の身体には異変が起きているのです。下半身の着物はだらしなく上がり、その中へと手が入れられています。
二人を見ていた母親は、恩納を思い出してしまったのです。痛めている足など、そのために関係なく上がりました。
声も出さず、そっと彼女だけの時間を終えるのでした。
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