土曜日の午後、ここはひろみさんの実家。僕の隣には、兄の男の子。外は肌寒いのに、走り回る彼は汗を掻いてしまっている。
『こっち、こっちっ!』『ヨシ兄、ちょっと来て!』と僕を呼び、この家の中を連れ回していく。
おかげで、ほとんど知らなかったこの家の全体が分かりました。
ひろみさんの実家は元農家。『元』と言うのは、数年前に彼女の父親が亡くなってから、辞めてしまったのです。
兄と彼女が結婚をした時に家は新築をされましたが、広い庭を挟んである農機具などを収めていた古い倉庫だけは残されました。
『子供の遊び場に面白そう。』、少し変わり者の兄は、ボロボロの倉庫は取り壊さなかったのです。
それは兄の思惑通りだったようで、古いこの倉庫の中には子供の遊び道具がいろいろと転がっています。
『泊まって行けばいのにぃ~。ねぇ~?ヨシ兄さん、明日までいて欲しいよねぇ~?』
ひろみさんの声が、夜の食卓に飛んでいます。泊まることを拒む僕を、子供達に伝えてるのです。
女の子はともかく、上の男の子ははしゃぎ始めます。今日一日、彼と遊び回った僕ですから。
拒む理由はいろいろとありました。一度セックスは済ませたとは言え、ひろみさんはやはりどこか苦手意識があります。
それに、ここは知らない家。他人の家と言うのは気が休まりません。一番は、なんと言ってもひろみさんとのこと。
まだ結婚とかには程遠く、進んで彼女と近づこうとも思わない自分がいます。
『一度セックスをしてくれた女性。』、その程度の認識なのかも知れません。
まだ新築を感じさせるお風呂。入る僕の隣には。甥の姿がある。6歳の彼には僕の股間は珍しく、何度も見てくれていた。
よく考えれば、彼の父親が亡くなったのは、彼が2才の時。
その時の記憶などあるはずもない彼には、大人の僕のチンポは珍しく見えたのです。
『ヨシ兄のチンポ、でっかぁー!!』
風呂上がりに過ごすリビングで、甥が大きな声でそう叫んでいる。母親のひろみさんは、その横で苦笑いをするのでした。
『ヨシ兄さん、お母さんに電話しておきまさょうか?心配されてもいけないし。』
ひろみさんは電話をとり、家にいる僕の母へと事情を告げる。その話し方はとても丁寧で、本当に良くできた義娘の姿です。
彼女はその影響で、僕にまでその話し方をしてくれる。13歳も年下なのに、真面目な彼女の姿勢はとても低いのです。
『次で終わりよぉ~!寝る時間、過ぎてるでしょ~!』
テレビゲームをやめようとしない子供に、ひろみさんが強く声を掛けています。その姿は母親そのものでした。
最後のキャラクターが死んでしまうと、妹は素直に、兄は名残惜しそうに部屋へと向かいました。
片付けを始めるひろみさんから、『ああ、ヨシ兄さん、お部屋に布団敷いてます。良かったら。』と告げられます。
客人用の部屋には、もう僕の布団が敷かれているようです。
それを聞き、少し安心しました。『まさか、ひろみさんと一緒なんて…。』と、そればかり心配をしていましたから。
しかし、残念ながら、その部屋が使われることはありませんでした。その原因は、夕食に出された350mlの缶ビール。
飲めもしないアルコールを口にし、酔わされた僕には強烈な睡魔が襲っていたのです。
リビングのソファー、目を閉じた僕はここでそのまま熟睡を始めてしまうのでした。
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