ひろみさんの口には、僕のモノが含まれていました。真ん丸の顔が咥えています。
僕の方を見ることもなく、黙ったまま真面目な顔をして、淡々と舌を動かしてくれているのです。
たまに感じるめんどくさそうな顔。本人も気づいてはいないでしょうが、好きでもない男の男性器に奉仕をするのです。
何気に出てしまうのは、仕方がないことなのかも知れません。
彼女は一度口を離し、辺りに目を向けました。決して、僕を見ることはありません。本当は見せたくはない姿なのです。
『ヨシ兄さん、そろそろ…。』
フェラチオをしていた彼女から声が掛かりました。目を反らし続けてきた彼女でも、確認のためには見ないわけにもいけません。
『はい。』という僕の返事を確認したひろみさんは、身体を延ばしながら、ベッドの上に置いてあるコンドームを手にします。
両手で袋を破って中身を取り出すと、『どうしましょ?私がしましょうか?』ととても丁寧に聞いて来てくれるのです。
人任せで生きて来た僕です。自分の考えなどどこにもなく、言われた通りの返事を彼女に返していました。
おかげで、ひろみさんは無駄に身体を屈ませ、好きでもない男の性器に避妊具を付けさせられることになるのでした。
『よいしょぉ~~。』
装着を終えたひろみさんは、掛け声と共にベッドへと寝転がりました。自分の位置を整え、その表情を整えます。
その顔にもう不安はありません。短時間ではありましたが、彼女なりの前戯を行い、男性のモノの準備も終わらせました。
ひろみさんの中では、もう『その時。』なのです。
『そしたら、ヨシ兄さん…。』
彼女は僕を呼び、両膝を立てた自らの中心へと導いてくれます。僕はその中へと入っていき、彼女と身体を合わせます。
天井に目を向けながらも、チラチラと僕の方をを見えくれるひろみさん。目が合うと、
『どうぞ、どうぞぉ~。』
と僕のためにわざと明るく言ってくれるのでした。
そばかすだらけの丸い顔。その女性と目を合わせながら、僕は今まさに挿入をしようとしています。
しかし、そこで浮かんでくるのは、兄の顔。結婚してから6年、ひろみさんだけでなく、兄とも会う機会は減っていました。
兄夫婦から逃げていたのです。おかげで記憶は薄れ、自分の兄の顔も正確にはもう思い出せません。
しかし、その兄が亡霊のようにひろみさんを抱いています。2人は心から愛し合い、身体を重ね合っているのです。
『僕など二番煎じ。ひろみさんだって、本心から僕なんか求めていない。』と見えない亡霊と戦っていました。
(僕は勝てたのだろうか?それとも…。)
その答えが出せないまま、僕はひろみさんとの身体は繋がってしまうのでした。
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