『……アナタ。気を付けて行ってきてね。』
寂しく切なく憎い気持ちの中、精一杯の声を出して夫を送り出す。
『……』
明日は、夫とデートに行く約束をしていました。
漁業が盛んな街だから
美味しいお寿司を食べに連れて行ってくれるらしい。
その後は、町の観光。
漁師が蔓延る中、危険だと思うかもしれない。
でも、夫が側に居れば危険ではない。
何故なら、夫は全国でも有名な某食品会社の社員だから。
この町の漁で採れた魚の大半は、夫の会社に卸される。
行ってみれば大口の取引先。
しかも、夫は若くして
その取引全般を任される重要なポジションに就いている。
もちろん町の漁師の大半は、夫と顔見知り。
だから、夫が側に居れば安心して町の観光が出来るという訳です。
『……』
でも……。
今日は、もう帰ろうかと思います。
やっぱり、私とのSEXをそっちのけで
お仕事に行った事が許せなかった!
今晩を、どれだけ楽しみにしていたか!
それに、ここまで危険を冒してまで来たというのに!
『……!!』
考えれば、考えるほど怒りが込み上げてきた!
もう、ここに居たくない!
そして、夫の顔も見たくなかった!
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そうして私は、怒りに任せて
危険な夜の町に飛び出してしまったのです……。
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