②-3
『浮気は男の甲斐性なんて、そんなの明治や大正の話よぉぉ、まだ〔お妾さん〕が許された時代の…、ねぇ岩瀬さん?』
そぅ言っているのは 寺田さんの裏 阿久さんの奥さん、道楽小屋を建ててる時 差し入れをしていたのを何度か見かけた。
寺田さんのご主人と阿久さんのご主人、この2人が一番の道楽仲間らしい、その2人が阿久さんの奥さんに〔くぎ〕を刺されていた。
〔寺田 道楽小屋 忘年会〕
集まった顔ぶれは、寺田さんの裏の阿久さん夫婦、寺田さん阿久さん共通の遊び仲間の男性2名(名前はなんだっけ?)、寺田さんの奥さん幸子さんの友人 岩瀬さん、そして俺と孝子さん。この他にも乾杯だけで〔おいとま〕なさった方々が数名いた。
小屋のリビングは八畳ほど、その中央にレンガで囲った〔囲炉裏〕、その囲炉裏のなかで〔すみ〕がパチパチと時折はねた。
「そんな事言ったって、なぁ阿久、こんな色っぽい奥さん見たら誰だって一度は…、なぁそうだろ?」(寺田さん)
「そりゃそうだ、それが男ってもんだ」(阿久さん)
『もぉ、おとうさん!、飲みすぎよ!、知らないわよ また悪化しても』(幸子さん)
「何だ?、糖尿か?」(阿久さん)
『そうなのよぉ、ただてさえ ろくに役にたたないくせに(笑)』(幸子さん)
「…なのか?寺さん?(笑)」(阿久さん)
「面目ねぇ(笑笑)」(寺田さん)
『てもねぇ(笑)、それは女も同じよぉ、ねぇ幸ちゃん?』(阿久奥さん)
『ちょッ、なぁに?あきちゃんまで』(幸子さん)
『だって そうでしょ?、あそこの奥さんがどぅしただのって聞くとさ…、その相手が知ってる男の人だったりするとさ…、好きとか何とかじゃなくてもさ 妙に気になったりするじゃない?、あるでしょ?幸ちゃんも』(阿久奥さん)
『あるある(笑)、だからって そんな事出来ないけどね(笑)』(幸子さん)
『でしょう?(笑)』(阿久奥さん)
「…だろ?、なら しかたねぇじゃねぇか、俺らが岩瀬さんに ちょっかい出したって、なぁ阿久?」(寺田さん)
『そぅよねぇ(笑)、私なんて さっきから野平さんが 気になって気になって(笑)』(阿久奥さん)
『私もぉぉ(笑)』(幸子さん)
どうやら女性には好き嫌いとは別に 妙な対抗心と言うか〔私だって まだまだ…〕そんな思いが有るらしい。
『…にしてもさ、もぅちょっと広くても良かったんじゃないの?畑、小屋(場所)とりすぎよ、おとうさん達の遊び道具ばっかり…』(幸子さん)
「んな事ねぇぞだろ?、蕎麦も打てるし うどんだって…、なぁ阿久?」(寺田さん)
「そっかぁ?、自転車だろ?、釣竿だろ?、ゴルフクラブだろ?、車の何だかんだだろ?、どんだけぇぇ(笑)」(阿久さん)
『…でしょう(笑)。車だって結局4台しか停めらんないしさ』(幸子さん)
『スミマセン、その内の1台分 貸して頂いちゃって』(孝子さん)
『そんなの良いのよぉ気にしないで孝子そん。おとうさんのオモチャで溢れてるって言ってんの!、聞いてる?おとうさん?』(幸子さん)
『車って言えば、私 勝手に停めちゃって…、野平さんちに…、ごめんなさいね』(岩瀬さん)
『そうよぉ、ちゃんと お礼しなさい!紀(のり)ちゃん?』(幸子さん)
「そんな、お礼なんで良いですって」(俺)
『そんな訳にはいきませんよ、ねぇ幸ちゃん?』(岩瀬)
岩瀬さんは 岩瀬 紀何とかさんなんだ?、俺は そんな事を考えながら
「ホント、気にしないで下さい お礼なんて…」
『でも、申し訳ないわ』(岩瀬さん)
「なら こうしましょ、〔頬っぺにチュッ〕って たまに…、それで結構ですから(笑)」(俺)
『何それぇ(笑)。そうだ! 今度から幸ちゃんち来る時 車で来る!、そしたら私も〔お礼〕して良いんでしょ?、…でしょ野平さん?』(阿久奥さん)
「おめぇは裏から来いよ、エンジン掛けるより早ぇだろ!」(阿久さん)
『なぁに?、妬いてんの?あんた』(阿久奥さん)
「んな訳ねぇだろ!、ガソリンが勿体ねぇって言ってんの!」(阿久さん)
『だってぇ!。良いじゃない!、ねぇ幸ちゃん?』(阿久奥さん)
『…ねぇ孝子さん?(笑)』(幸子さん)
『…ええ(苦笑)。そぅだ寺田さんのご主人?、私 年明けから野平さんに貸して頂きます 駐車場、良いかしら野平さん?』(孝子さん)
「まぁ、それは構ないですけど…、何でまた?」(寺田さん)
『…だってぇ(恥笑)』
『ほんのちょっと停めさせて頂いて お礼が頬っぺにチュッなんですよね?、なら1ヶ月停めさせて頂いたら どんなお礼をすれば良いのかしら?、って…(笑恥)』(孝子さん)
『それ良いぃ!、私も貸してもらう!、野平さんちの駐車場、ねぇあきちゃん?』(幸子さん)
『うん!、貸して貸して野平さん』(阿久奥さん)
『えぇッ、私はぁ?。私も貸して欲しい!、けど ここから家まで どうやって帰ろうかしら(笑)』(岩瀬さん)
『そんなの何も車停めなくったって…、駐車場だけ貸して頂けば良いんでしょ?、月極めで、ね?野平さん?』(阿久奥さん)
『そぅよねぇ』と、女性陣が笑っていた。
岩瀬紀何とかさん、その容姿は確かに魅力的だった。
黒いレギンスの様な物は履いているものの 白いニットのワンピース その上の丈の長いカーディガンで見え隠れするボリューミーなライン、魅せられていた。
「モテモテだな?野平さん」(寺田さん)
『そりゃそぅよ!、途中でダメになったりしなそぅだもの!』
『優しいし、格好いいし、ねぇあきちゃん?』(幸子さん)
『そうそう!、ねぇ幸ちゃん?』
『でも多そうよ、ライバルが(笑)』(阿久奥さん)
『大丈夫よ!、ね?野平さん?』
『1人や2人増えたって、1度にお相手してくれるわ きっと…、野平さんなら …、でしょ?(笑)』(幸子さん)
それなりの年齢のオヤジやオバサンが集まれば 結局 下ネタ、そのあとも下らない話しで解散をした。
どこまでが冗談なんだか?
俺は 大いに期待を膨らませながら 皆んなに手を振った。
〔車、良いかしら?〕
〔香代さんには 改めてお願いに伺うから〕
〔寺田さん 娘さんご夫婦とか お客さんも多そうだし、ダメ?〕
家に帰ると すぐに ショートメールの着信、差出人は孝介。
〔大丈夫〕
俺は そう 返した、差出人は朋子。
いつだったか どちらからともなく 念のため 名字は消されていた。
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