昼下がりの公園は、入り口から少し入っただけで別世界に感じた。
数人がまばらに座るベンチの前を過ぎると空が高く、車の音が遠く感じた。
人工林に囲まれたハイキングコースに入る頃には、人気すら無くなった。
風が吹くたびに、揺れた木の葉が音を立てていた。
ハイヒールの裏で潰れる砂利の音を聞きながら、オレンジ色のアスファルトを進んだ。
曲がりくねった坂を上っていくと、『休憩所』と書かれた錆びた看板の向こうに東屋が見えた。
さらに進むと道が大きく曲がり、ポツンと立った街灯の下にベンチが置かれていた。
ベンチに座って足を組むと、左右に分かれたコートの裾から太ももが露わになった。
風が吹くたびに木々が音を立てている。
私はそのまま目を閉じ、妄想の中に浸っていった。
右側に座る人影は 首筋を舐めながら乳房を揉みしだいている。
左側の人影は、私の頭を引き寄せてキスをしながら乳首を抓り上げる。
そんな妄想に浸る間に、真上から降り注いでいた陽の光が傾き、遊歩道のアスファルトを木の影が覆っていった。
どのくらいそうしていただろうか。
妄想に漂う朦朧とした意識の中で、私の耳には聞こえるはずのない声が聞こえていた。
「・・・また来たな」
「いやらしい女だ・・・」
「あぁ、変態だな・・・」
目を開くと座った時と同じ、遊歩道の光景があった。
木陰に覆われた薄暗い空間の中で、人影が私を囲んでいた。
影の中でサングラス越しに見える人影は黒くて、私はそのまま妄想の続きを見続けた。
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