俺はその光景を見ていた。
カメラのレンズと、ベランダの窓ガラス越しに見ていた。
カーテンを閉めなかった事を、女の意思と信じながら見ていた。
リビングに戻ってきた女は、ベランダから去った時と同じ姿だった。
俺に指定された白いTシャツを、俺のメッセージに奪われたままの姿だった。
そんな全裸の女の後ろから、メタボな中年男が現れた。
男はベランダを向いて立っている女の肩を掴み、自分のほうに引き寄せながらキスをした。
その激しさは、後頭部に這い上がる右手と左右に揺れる頭が物語っていた。
舌を捻じ込み、口の中を舐め回していると感じさせる動きだった。
中年男が次にしたのは、空いている片手で自分のベルトを外す事だった。
モゾモゾと動きながらベルトを外し、不器用な仕草でチャックを下ろしながら女の頭を自分の股間に押し下げた。
女は少し戸惑ったような仕草で両手をバタつかせながら、けれど中年男の手の動きの通りに、跪きながらその顔を男の股間の前においた。
女の顔が左右に振れ、何度か上下に動いた。
そして後頭部に添わされた男の手のまま、前後に動きはじめた。
女が頭を振るたびに、その長い黒髪が揺れていた。
動きが激しくなるにつれ、中年男は目を閉じて天を仰いでいった。
その下品な笑みが、歪んだ唇が、女の口の中で与えられる快楽を物語っていた。
立ち尽くすポロシャツとスラックスの中年男。
跪く全裸の女と、激しく揺れる長い黒髪。
そんな光景が数分続いた後、中年男が女を押した。
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