オフィス街にしか似合わないようなスーツ。
クリーニングに出したのだろう襟までノリのきいたブラウス。
背筋をピンと伸ばしているのに俯いていて、両手は足の上で拳を握っていた。
そしてその俯いた顔は、何かに耐えるような表情をしていた。
俯いていてもわかるほど、鼻筋の通った美人だった。
目を閉じているが、その睫毛すらプライドを感じさせる。
おそらくバブルの頃に存在したキャリアウーマンとは、こんな姿をしているのだろうと思った。
それほどファンデーションも口紅も完璧だった。
スカートからのぞく足も、スーツを押し上げたいる乳房さえも、女性から見ても綺麗だった。
待合室から一人ずつ患者が消え、二人きりになった。
壁の時計は12時25分を指していた。
そして診察室から出てきた篠宮が、ケバケバしい女に「次は気を付けんとな」と声をかけて送り出し、「いやぁ、今日は時間が掛かった・・・すまんかったね、奥さん」と待合室を見た。
『休診』の札を掲げ、扉に鍵をした篠宮の後ろを並んで歩いた。
チラッと横を見ると、鋭さを感じさせる美しい顔に、すでに恍惚の表情が浮かんでいた。
全裸になった私達を見た篠宮は、私を分娩台に上がらせた。
私は拘束されながら、篠宮の下半身にすがりつく『同類』を見ていた。
長い髪を揺らしながら、悪魔のような男の棒を咥えている。
『同類』は、悪魔に心酔しているようだった。
もしも山崎さんを知らなければ、私も同じようになっていたのだろうか・・・と、鼻筋の通った綺麗な顔に恍惚の表情を浮かべ、手で扱きながらお尻の穴をベロベロと舐めている美しい女性を見て怖くなった。
しかしそんな考えは、強く感じていたはずの恐怖は、篠宮の手が吸引器のゴムボールを握り、透明の管を通り過ぎる空気が シュッ と音を立てた瞬間に、消えていった。
今の私も、あんな顔をしているのかもしれない・・・そう思いながら、いっぱいに伸ばした舌をお尻の穴に這わせながら、棒を扱きタマを揉みながら、私を見上げる『同類』の恍惚の笑顔を見ていた。
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