火曜の朝は、憂鬱な気分だった。
篠宮の事や産婦人科での行為も報告した山崎さんが、私を呼び出さないと決まっている1日。
7時45分に飲んだ健二君の味が口の中で薄くなるにつれ、焦燥感が湧き上がってくる。
あの男を忌まわしいと思う気持ちが、消える事はないと思う。
肉体を・・・いや、心まで変えられていく事を実感するたびに怖くなる。
なのに私は、この日も11時になるよりも前に待合室のソファーに座っていた。
病院の待合室には、いつも数人しかいない。
繁華街の外れにあり、いつか見た病院の簡素なホームページには、デカデカと性病検査をアピールする文字が並んでいたから、当然なのだろう。
ここでは私の服装や雰囲気のほうが異質なのか、ケバケバしい化粧をした金髪の若い女から、無遠慮な目でジロジロと見られてしまった。
けれど私は、私よりも前からソファー座っている女性だけを見ていた。
私は、その女性を『同類』だと感じていた。
ほとんどの客・・・いや患者は、「性病治療」を謳う産婦人科に相応しく派手な服を着てケバケバしい化粧をしていた。
そうではない女性は、これで若くなければ許されないと思うほど、寝起きのまま家から外に出たのかと思うほどの服装とスッピンの顔だった。
どちらの種類の女性も色々な色に髪を染め、私の偏見かもしれないが『風俗嬢』を連想させるのに十分な服装と化粧と、そして気怠そうな態度をしていた。
そんな待合室では、もちろん私もだが『同類』は異質な雰囲気を醸し出していた。
※元投稿はこちら >>