俺は、妻の寝室に忍び込んだ。
山崎の来訪から1ヶ月が経った頃、妻から寝室を分けたいと言われて受け入れた。
あれからもう半年以上が経ったが、部屋に入ったのはこの日が初めてだった。
それまで2人で使っていた寝室は、そのまま俺が使っている。
ベッドもテレビも、2人で寝ていた頃のままだ。
納戸代わりに使っていた小さな部屋を寝室にするために妻が持ち込んだのは、結婚前から妻が使っていた小さなクローゼットとタンス、それに化粧台だけだった。
俺は部屋の真ん中に置かれたベッドを見た。
妻が購入する時に見ていた、ベッドのクッション性の高さを謳った広告を思い出した。
それがシングルではなく、セミダブルでもなく、六畳分の広さしかない部屋には大きすぎると思えるダブルベッドだった事には何も言わなかった。
ベッドは、その左右に空間を空けて設置されているせいで、狭い部屋がさらに使いづらく見えた。
もちろん、俺はこのベッドを使った事がない。
このベッドで寝るのは、妻だけではない・・・妻
を抱くのは俺ではない・・・そして妻を抱く人数が、一人だとゆう事すら決まっていないと知っている・・・
相手が一人でも、三人でも、、、たとえ4人でも5人でも、、、ベッドのどちらからでも、どんな行為でもできるように、、、そう感じさせるベッドの位置だった。
「バレたら終わり・・・そう約束しましたよ」
俺は初めて入った妻の寝室に立ち、先日の山崎の言葉を思い出していた。
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