ドアの方へと視線を移す真理子と羽生…
その視線の先には、買い出しから帰って来たマスターだった。羽生は、カメラのランプに気づいてから、マスターが入って来る予感はしていて…
一瞬、驚いてみたものの直ぐに落ち着きを取り戻す…
一方、真理子は羽生に奉仕したばかりか、その気持ちが治まらない表情をマスターに悟られないようにワンピースの乱れを直すフリをして俯いて背中を向ける。
マスター:『羽生さん…楽しまれたようですね。帰って来るの遅かったですか?ふふ…』
マスターは羽生と真理子の様子を見て顔をニヤつかせて、そう言うと…
羽生:『マスター…ええ、楽しめましたよ…真理子は少し欲求不満気味かもしれないですけどね…?』
羽生が背中を向ける真理子を見て、同時にマスターも連れられて視線を向けられると…真理子は背中に男達の視線を感じて、顔を俯けながら、無言で湧き上がる身体の火照りを鎮めようと、震えた手を下腹部に押し当てて…
マスター:『欲求不満ですか…もっと、楽しまれて……おや?このシミ……?』
マスターは、話しながら真理子の方を見ると、その真理子の足元にある畳のシミと濡れたタオルを見つけて羽生に尋ねる。
羽生:『あ、マスター…すみません…真理子がちょっと粗相してしまって…汚しちゃったんですよ…』
マスターは予想していたような羽生の答えに顔をニヤりとさせると、真理子へ…
マスター:『困りますね…店の備品なので、出来るだけ汚すのは止めて欲しいんですけど……』
マスターは淡々と真理子のした行為を咎めると、俯いていた真理子は、小さな声を震わせて…
真理子:『ごめんなさい…すみません……クリーニング代なら出しますから…』
マスターは、そんな真理子を見て…
マスター:『クリーニング代とか要りませんよ。私が掃除しておきますから…それなら、お代金の代わりに、真理子さんをもう一度縛らせてくれませんか?…もし、羽生さんがいいなら…』
羽生はチラッとマスターと視線を交わすと、真理子を見て…
羽生:『僕は、一緒に見学させてくれるなら、いいですけど…真理子はどうしたい?』
真理子:『えっ…縛るですか…私は……は、羽生さんが傍にいるなら…』
真理子は一瞬…「縛る」という言葉に身を固くしたが…羽生と目が合うと、真理子の心は、羽生に身を委ねるしかないと思い、そう答えてしまう。
マスター:『ありがとうございます。では…また、次回という事で…羽生さんに連絡しますから……あっ、そうそう…羽生さん…』
そして、マスターは思い出したような羽生に話し始める。
マスター:『実は…戻ってくるのが遅くなった理由なんですけど、駅前で偶然に美穂子さんに会って少しお話ししてたんです。覚えてますか?前に羽生さんとお店で良くお話しされた…』
羽生はマスターの話に少し考えると直ぐに、その女性の事を思い出して…
羽生:『えっと…あ、確か…マスターのお気に入りの女性でしたよね?その方…アパレル会社の女社長さんだったような…しばらく、お会いしてないですよね…』
マスター:『あ、そうです…美穂子さんに久しぶりに会って、店に羽生さんが女性を連れて来てるとお話したら…懐かしがられて……一度お店でお会いしたいと言ってらっしゃいましたよ。』
羽生はマスターが言った女性の事を思い出していた…
羽生はこの店に来て一年くらいで、初めて訪れた時に出会った女性だったような気がする…
名前は「滝川美穂子」…年齢はわからないが、真理子より少し年上の女性で、アパレル会社を経営してると聞いた事は覚えていた。
そして、真理子とは対象的に細身だったように印象が残っていて…
何度か、お店で三人でお酒を飲んで…マスターから美穂子を調教した時の話を聞かせて貰いながら、恥ずかしがる美穂子の表情が記憶があった。
羽生:『そうなんですね…美穂子さん、お元気でしたか?懐かしいなぁ…是非、逢いたいですね………そうそう、真理子も一緒にとか…どうです?マスター…ふふ…』
羽生はマスターに微笑むと、何やら悪巧みをしているように厭らしい微笑みを浮かべていて…
しかし、真理子はその話を聞いていたものの…壁掛け時計を見て帰宅する時間を気にしていて…
真理子:『あの…そろそろ…帰らないと…』
羽生:『あぁ…そうだ…帰らないといけないね…僕は、もう少しマスターと話したいから…ここで……あとでメールするから…』
そう言うと真理子は、二人の横を通って部屋を出る。その通り過ぎた真理子の身体から漂う香りは牡達を発情させるような牝の香りが薫らせていて……
真理子は、そんな事も知らずに、ただ、この店から出る事だけを考えて足早に出て行って…
(続く)
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