汚さられた写真に興奮し、自分に向けられる欲望に欲情した。
まだ見ぬ男の、聞こえないはずの命令を想像してカメラの前でポーズをとり、下品になればなるほど増える反応に悦びを感じた。
危険を表しているはずの男の残り香に、出されたばかりのような精液の湿りに興奮した。
誰かの精液に舌を伸ばし、その味を感じながらクリトリスを弄った。
リスクであるはずの男達との遭遇への恐怖は薄れていき、いつしか警戒は消えて無くなっていった。
だから毎日、公衆トイレに通った。
麻紀とゆう女に声をかけられたのは、そんなある日だった。
派手な印象の女だった。
腰まで伸びるウエーブした髪も、まつ毛の長い大きな瞳も、まるでホステスか何かのような雰囲気を感じさせる。
下品な、けれど似合っている赤い口紅の唇で微笑みながらマンションの廊下に立っている。
公衆トイレから帰ってきた明美を待ち構えるように、自宅である801号室の玄関の前に立っていた。
「これ、私の家に届いたんだけれど・・・」
そう言いながら、小さな小包を目の前に差し出してきた。
そこに貼られている伝票に差出人の名前はなく、住所だけが書かれていた。
「もしお宅の荷物だったら、開けてしまうと失礼じゃない?」
そう言いながら、書かれている住所を指差した。
確かに、そこにはこのマンションの住所が書かれている。
そして書き間違えを誤魔化そうとして失敗したような、歪な数字で部屋番号が書かれていた。
・・・6とも8とも読めてしまう。
麻紀は、一緒に開封しようと言った。
中身を見ればわかると言った。
そして有無を言わせない態度で、601号室の中に入ってきた。
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