私は、夫の胸の中で目を覚ます。
カーテンの隙間から、外の光が射し込んでいる。
もう、朝か……
私は夫を起こさないように、そっと体を起こし、ベッドから出る。
床に脱ぎ捨ててあった下着とパジャマのワンピースを手に取り、とりあえず、ワンピースだけを着てからリビングに降りた。
コーヒーメーカーでコーヒーの抽出を始めた後、着替えを持って洗面所へと向かう。
下着を洗濯機の中に入れて洗濯機のスイッチを入れて、顔を洗い、着替えをしようとワンピースを脱いだ。
ワンピースを脱ぐと、鏡には何も身にまとわない私の身体が映った。
新しい下着を着けてから服を着てリビングに戻ると、コーヒーの抽出が終わっていたので、私はカップにコーヒーを入れて、テーブルに座りコーヒーを飲む。
今日は土曜日か。朝御飯を作って、一郎を塾に送り出して、昼作って…
そんな1日の流れを頭の中で思い浮かべながら、スマホのLINEを開く。
羽山君からLINEが来ていた。
羽山【昨日はありがとうございました!また次会える日、楽しみにしてます。それじゃ、バイト頑張ってきます!】
私は、羽山君に返信を入れる。
Y【はーい。次はあるかなぁ(笑)とりあえず、バイト頑張ってねー。】
そう返信をした後、昨日夫と話したことを改めて振り返る。
夫はやはり羽山君との関係に気付いており、それを許容した。
5年前に夫から他の男に抱かれてみないか、と聞かれた時は、夫の頭はおかしくなったのかと思ったし、応じるつもりも毛頭なかった。
他に女でもいるのか、と疑ったりもしたが、夫はやはり私以外の女に見向きもしない。
そして、三年前。
大和さんという、夫以外の男性に初めて抱かれ、私の中での、女としての価値観は大きく変わった。
それまで、セックスなんて、夫の性欲解消に付き合う程度のレベルであり、自分には性欲なんてほとんどないと思っていたのが、女の快感を知って自分の中にも性欲が生じるようになった。
30数年生きてくる中で、初めてそれを知った反動は大きく、自分の中で、性欲の本能のままに生きるもう1人の私が出るようになった。
私はそれに抗うことは出来ず、ただ快楽を求めてセックスをしたり、オナニーをしたりすようになった。
そして、吉田社長の一件で、私は自分を守るために、もう1人の自分に全てを預けて、吉田社長に体を許した。
その一件が解決してからの私は、自分の中にある性欲を極力、抑え込むようになってしまった。
次第に、もう1人の自分も顔を見せることは少なくなり、それは、言い換えると、また昔の私に戻ること。
つまり、夫が望み続けたもう1人の私を、私の手で殺すことになる。
そんな中、羽山君という大学生に出会い、偶然が重なって、性欲が刺激される場面に遭遇してから、私は、自分の性欲を抑えることが再び出来なくなってきた。
それならば………もう一度女として生きてみよう。
夫も、きっと私がもう一度女になることを望むだろう、という確証があった。
自分がしていることを正当化するつもりはない。
ただ、気付いた時には、私も歪んだ性の世界に足を踏み入れ、そこから抜け出すことが出来なくなっていたのだ。
だから、今回は私は、夫に望まれる寝取られの形を私なりにも楽しもうと思う。
そう思いながら、コーヒーを飲んでいると、二郎が目を覚ましリビングに降りてきた。
私は主婦としての私に気持ちを切り替え、土曜日の家事を始めた。
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