羽山「やっぱり駄目だ。」
朝になって、僕は服を着ながら、ベッドで寝ていた典子に言った。
典子「え?」
僕は、典子の部屋にいた。
典子に誘われ続け、次第に断りきれなくなって典子と夕飯に行った後、典子が一人暮らししているアパートに誘われた。
何となく、雰囲気的な流れでセックスはしたが、やっぱり僕の思いは満たされなかった。
別に典子が悪い訳じゃなかった。
ただ、典子とセックスしていても、Yさんのことが常に頭に浮かんでいた。
ただ、典子は、セックスをしていても、ほぼマグロな状態で、身体付きもYさんと比べたら雲泥の差だった。
羽山「典子が嫌いって訳じゃなくて、やっぱり、男女の関係ってなると、上手くいかないと思うんだ。」
典子は黙って聞いていた。
羽山「だから、やっぱり、典子は良い友達だよ。本当の意味で。」
典子「そう……なんだ。」
羽山「ごめんね。」
典子「ううん。いいの。誘ったの私だし、羽山君の気持ちがそうなら仕方ないよね。」
羽山「うん。じゃあ、また学校で。」
典子「うん、じゃあ。」
そう言って、僕は大学に向かった。
生澤「は?泰人、頭大丈夫?」
午前の講義が終わり、生澤とファミレスで昼を食べながら、僕は典子の部屋に行ったこと、やっぱり、付き合えないと言ったことを生澤に話した。
羽山「大丈夫だわっ!」
生澤「いやー、俺は典子いいと思うけどなぁ。」
羽山「いや、俺だって、別に典子が嫌いとかそういう訳じゃないよ。」
生澤「じゃなんでだよ?」
羽山「んー……。」
生澤「まさか、Yお姉さんがいいとか?」
羽山「あながち否定はしない。」
生澤「だーかーらーっ!いいか?相手は人妻だぞ?子供もいるんだろ?どう考えたって、お前には無理だわ(笑)」
羽山「んなもん分かってるよ。」
生澤「何か?セックスだけでも出来ないかな?なんて甘い考えしてんじゃねぇだろうな?」
羽山「セックスだけが目的じゃねぇよ。」
生澤「いや、どう考えてもそうじゃねぇか。で、その人妻はさせてくれんのか?お前みたいなお子ちゃま相手に。」
羽山「まぁ、二人でホテルには行ったよ…」
生澤「……………。あ、行ったんだ……。」
羽山「うん。」
生澤「………じゃあ、もう俺は何も言わん。それは泰人の自由だからな。しっかし、とうとう泰人も禁断の道に入ってしまったか。で、どうなんだよ、人妻の味は?」
羽山「いやいや、教えるわけねーし(笑)」
生澤「んだよー。減るもんじゃねぇんだから。でも、典子とか女子には絶対ばれるなよ。鬼畜扱いされるぞ。」
このさっぱりした考え方をする辺りが、生澤のいいところだ。
典子も、生澤だったら幸せになれるんじゃないかな、と思いながら、僕は生澤と昼食を食べていた。
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