僕達は、数件並ぶラブホテルのうち、1番新しい感じがするホテルに入った。
部屋は、いくつか空室があり、既に宿泊の料金形態になっていた。
僕は、その中でも、1番高い部屋を選んだ。
窓口で宿泊代金を支払い、鍵を受けとる。
二人とも無言でエレベーターに乗り込み、部屋の前に着くと、僕は鍵を開けて中に入り、Yさんも続いた。
Y「んー。ラブホテル久々だなぁ。」
羽山「いつ以来ですか?」
Y「ん?ふふふ(笑)それは内緒(笑)」
羽山「何故だし(笑)」
Y「まぁ、大人には大人の事情があるのよ。私の事情もね。」
羽山「んー。Yさんって、こういう男女関係って、初めてじゃないんですよね?」
Y「何その聞き方(笑)全く、私を何だと思ってるのよ(笑)まぁ、でも、それは隠しても仕方ないよね。確かに、初めてじゃないことは確か。それ以上は言えないけど。ごめんね(笑)」
羽山「いや、全然。Yさんみたいな人だったら、ほっとけない男の人、沢山いると思いますよ。」
Y「そうなの?よく分かんない。個人的には、ほっといてもらった方がいいんだけどねー。でも、こうして羽山君とも、来ちゃった自分もいるから、ダメな女よね。」
羽山「ダメだなんて。そんな。」
Y「あ、でもね。これだけは、覚えておいてね。私、離婚とかは絶対しないから。もちろん、これがばれて主人に離婚って言われたら諦めるしかないけど。」
僕はYさんの言葉を黙って聞いていた。
Y「ただ、綺麗事だ、って言われるかもしれないけど、私は主人に求められる女でいたい、って思ってる。だから、今は色々私の中で模索してる部分もあるの。主人、ちょっと変わった部分もあってさ(笑)」
羽山「変わった部分?」
Y「うん(笑)うちの主人、もしかしたら、羽山君とのこと、気付いてるかもしれない(笑)」
羽山「えぇぇっ!もしかして、まずいんですか?」
Y「いや……大丈夫じゃない……かな?多分(笑)」
羽山「え?大丈夫じゃないですよね?」
Y「んー。羽山君には分からない世界だと思うから、それ以上は聞かないで(笑)」
羽山「はぁ…」
Y「さて!とりあえず、お酒臭いのは嫌だろうから歯を磨こう(笑)」
Yさんは、荷物をソファーに置いて、歯ブラシを手に取り、歯磨きをはじめる。
本当に、よく分からないことだった。
でも、Yさんには、Yさんの事情があることも、何となく伝わってきた。
ただ、今日これからのことは、僕はYさんに、自分のありったけの思いをぶつけよう。
そう心の中で呟いた。
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