それから、半月が経過した。
僕とYさんの関係は特に進展がなかった。
普通にバイトの時に顔を合わせて、仕事をして、お互いに仕事の入っていない日のお昼にLINEをする。
それくらいだった。
生澤「で?ホントに人妻でいいの?お前。」
羽山「なにが?」
生澤「とぼけんなって。Yお姉さまのことだよ。」
羽山「生澤のお姉さんじゃねぇだろ。」
生澤「んなもん当たり前だろ。ったく、冗談すら通用しなくなってきたな。」
羽山「俺には冗談にされるのすら嫌だね。」
生澤「報われないの分かってんのになぁ。因みに、お前、典子のこと、どう思ってんの?」
羽山「どうって?」
生澤「典子がお前のこと好きだって、まさか気付いてないの?」
羽山「ん?何となく気付いてるよ。」
そう、YさんとLINEをしてる時に、よく典子からもLINEが来ていた。
どっか遊びに一緒に行かないか?とか、夜ご飯一緒に食べないか?とか。
僕はその全てをバイトや、地元の遊びでごまかして断っていた。
生澤「泰人が彼女と別れたって教えた時、典子の目付き変わったからなぁ。」
羽山「へぇ。てか、勝手に言うなよ。」
生澤「仕方ないだろ。話の流れってもんがあるんだから。」
羽山「ったく、人のプライベートなんだと思ってんだよ。」
生澤「で、典子どうなんだよ?あの子だって、なかなかいいと俺は思うぞ。女の子らしくて。」
羽山「別にダメとは言ってないだろ。ただ、今はそういうこと考えられないから。就活だって、終わってねーし。」
生澤「まぁな。だけど、急に背伸びして、気付いた時には戻れなくなってる。これだけには気を付けろよな。」
この時、僕は生澤の忠告の意味が全く分からなかった。
※元投稿はこちら >>