翌日はYさんとの勤務だ。
僕が出勤すると、Yさんは既に制服に着替えて引き継ぎノートを見ていた。
羽山「おはようございます。」
Y「あ、羽山さん。おはようございます!」
昨日のことなんて、まるでなかったかの如く、いつも通りのYさんだった。
Y「羽山さん。朝番からの引き継ぎに、配送が今日は遅れるってあります。」
羽山「え?それだと、検品もこっちでやらないといけないってことですよね?」
僕は内心はYさんとの昨日のことばかり考えていたが、冷静を装いながら答えた。
Y「ですね……。店長今日お休みなので大変になると思います。」
羽山「じゃあ、検品僕やりますから、Yさん、レジ見つつ、陳列お願いします。」
Y「分かりました。私、納品前に店内清掃やっちゃいます。」
羽山「お願いします。」
僕達は発声トレーニングを終えると、すぐに朝番クルーと交代した。
いつもなら、9時前には納品がくるところ、今日は遅延が生じたために、とてつもなく忙しい1日になってしまった。
それでも、Yさんは、レジの状況を見ながら手際よく商品を陳列してくれた。
僕はYさんが視覚に入る時は、常にYさんを追い続けていた。
男の客がYさんと親しそうに喋っているところを見るだけでも、嫉妬してしまう自分がいるが、僕はそんな自分を抑えながら仕事をしていた。
Y「お疲れ様でした!」
羽山「お疲れ様でした。」
僕は、Yさんから少し遅れて店を出ると、駐輪場には旦那さんの迎えを待つYさんがいた。
Y「お疲れ様。」
笑顔でYさんから、声をかけられた。
羽山「お疲れ様でした。」
店を出て他のクルーがいないところでは、いつものYさんだった。
Y「ちゃんと約束守ってくれてるね。」
羽山「いや、守りますよ。そりゃ(笑)」
Y「こう見えて、私だって、冷静に努めるの大変なんだからね(笑)」
羽山「え?そんな風に見えませんでした。」
Y「そりゃ、分からないようにしてるから(笑)」
羽山「そうなんですね(笑)冷静じゃないの僕だけだと思ってたから、何か嬉しいっす(笑)Yさんのことだから、てっきり何もなかったことになってるのかな、って(笑)」
Y「あ、今バカにした(笑)もう二人で会わないことにしよっと。」
羽山「えぇ!嘘です。取り消します。」
Y「ふふふ(笑)あ、迎え来た。じゃあ、また。」
羽山「あ、お疲れ様でした。」
駐車場に入ってきた旦那さんの運転するミニバンに駆け寄り、Yさんは助手席に乗り込んでいった。
僕はそれを見ながら、また切ない気持ちになっていった。
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