シュラスコのお店に着いて、ランチを食べながら、僕は色々な話をした。
大学生活のこと、就職活動のこと、親の愚痴。
Yさんは、僕の話を遮ることもなく、笑顔で聞いてくれた。
羽山「そういえば、Yさんって、旦那さんと、どこで知り合ったんですか?」
Y「ん?高校の部活の先輩。」
羽山「へー!部活は何してたんですか?」
Y「聞いたらビックリするよー。剣道部。」
羽山「えぇっ!?確かにビックリ(笑)」
Y「でしょ?(笑)」
羽山「じゃあ、防具着けてたりして、竹刀振ってたりしたんですか?」
Y「してたしてた(笑)弱かったけどねぇ。」
羽山「段とか取ったんですか?」
Y「私は初段で終わっちゃった。二段は受けなかった。」
羽山「そうなんですね。でも、凄いなぁ。」
Y「全然。初段なんて、中学で取れるし。高校は中学程練習もしなかったからね。」
羽山「え、じゃあ、旦那さんとは高校からの付き合いなんですか?」
Y「そう。主人が引退してから、付き合うようになったの。それで、結婚。」
羽山「凄いなぁ。じゃあ、付き合ったことあるのも旦那さんだけなんですか?」
Y「あ、今馬鹿にしたでしょ(笑)残念ながら違いますよー。主人と付き合う前は二人付き合ったことあるよ。」
羽山「そうですよねぇ。」
Y「二人目の人と付き合ってる時に主人が私に彼氏いないと思ったのか、突然告発されてねぇ。その時は保留にしたけど、結局その彼氏とは別れて主人と付き合うことになったの。」
羽山「略奪ですか(笑)」
Y「略奪とは違うでしょ(笑)元々、その時の彼氏とは色々価値観が違ったから。」
羽山「価値観?」
Y「そうそう。なんて言うのかな。高校くらいの時って、周りも大人びてきて、そういう関係求めがちでしょ?でも、私はあんまり、そういうの好きになれなくてね。で、別れて、主人と付き合うことにしたの。」
羽山「あー。何か分かります。え?てことは、Yさんって、旦那さんとしか、そういう関係ないんですか?」
Y「普通それ聞く?(笑)」
羽山「あ、ごめんなさい。」
Y「ホント、羽山君は、そういう普通聞きづらいことをずけずけ聞くよね(笑)」
羽山「そんなつもりじゃないんですけど。でも、そうなのかな、ってつい疑問に思っちゃって。」
その瞬間、Yさんの口元が一瞬だけ美魔女みたいな、艶やかな笑みを見せたのを僕は見てしまった。
なんだか、とてもエロティックな笑みだった。
Y「それは教えてあげません(笑)」
羽山「あ、はい。」
Y「ちなみに、羽山君は彼女いないの?」
羽山「う~ん。最近までいたにはいたんですけどねぇ。自然消滅というか、お互い連絡しなくなったというか。」
Y「えー?それなら、私みたいな、おばさんとお昼食べてるどころじゃないじゃない。」
羽山「あ、いいんです。僕がYさんと食事に行きたかっただけですから。」
とてつもないことを口走ってしまった。
Yさんも、返答に困ってしまったようだった。
羽山「あ、変なこと言ってごめんなさい。」
Y「ちょっと、からかうのはよしてよー(笑)さ、食べ終わったし、そろそろ行こっか。」
羽山「あ、はい。」
僕が伝票挟みを取ろうとすると、先にYさんの手が挟みを取った。
羽山「僕が払います!」
Y「ダメです。ここは、大人の私が払います(笑)」
羽山「僕も大人ですよ…。」
Y「でも、私よりは子供でしょ(笑)今日はいいから、私に出させて。」
羽山「僕が誘ったのにー。」
Y「ここで払わせたら、私が逆に困るわ(笑)」
羽山「そう…ですか。」
Y「次はご馳走してね(笑)」
羽山「え?……はい!じゃあ!」
Yさんは、レジに支払いに行き、僕はその後ろをついていった。
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