店長「何やってたんだよ。全く。」
夕方のクルーと交代した後、僕とYさんは店長にことの経緯について報告していた。
Y「申し訳ありませんでした。」
Yさんが頭を下げるのに続いて僕も頭を下げた。
店長はYさんから連絡を受けると、すぐに支部の統括に電話をして、近隣の店舗からタバコの手配を取り付けて、Yさんが用意してくれた店舗にタバコを受け取りに行ってくれた。
そして、店長が出勤してきて、客の自宅までタバコを届けにいき、何とか事なきを得たのだった。
店長「二人なら、もう任せられると思って俺も安心してたんだがなぁ。引き継ぎノートのありかたも考え直さないとダメかな。」
Y「本当に確認不足で申し訳ありませんでした。」
僕のミスなのに、Yさんが必死に謝っていた。
羽山「店長、元は僕の責任なんです。Yさんは悪くないんです。すみませんでした。」
店長「責任とかって話してるんじゃないんだよ。ただ、気の緩みがあるなら、店舗責任者としては見過ごすことは出来ないから言ってるんだ。」
Y「はい。申し訳ありません。」
店長「起きてしまったものは仕方ない。しばらく火曜日は俺も出勤することにするよ。本部に今日のことを報告しなきゃいけないから、二人はもう上がっていいよ。」
Y「申し訳ありませんでした。失礼します。」
羽山「すみませんでした!」
店長「おつかれさん。」
僕は、店を出てから駐車場でYさんに頭を下げた。
Y「大丈夫ですよ。誰にでも、ミスはありますから。気にしないで下さい。私も注意不足だったんだし。」
Yさんは笑顔で答えた。
羽山「でも、僕がタバコ売った時、Yさん、冷蔵庫のウォークインでドリンク補充してたんだから、気を付けようがないですよ。」
Y「そうじゃなくて、羽山さんが、今日出勤した時から、様子がおかしいのに気付いてたのに、引き継ぎで注意しないといけないことをお互い共有しなかった私にも責任あるんです。」
羽山「お客さんが苦情言ってきた時、どうして、僕にバックヤードにいるように言ったんですか?」
Y「んー。歳の経験かな?(笑)何となく、その方がいいと思って(笑)」
羽山「何か、僕からしたら責任全部Yさんに押し付けてるみたいで…。」
Y「そんなことないですよ(笑)大丈夫ですから、気にしないようにして下さいね。じゃあ、私帰りますね。」
そう言って、Yさんは車に乗り込もうとした。
羽山「……………あ!じゃあ、Yさん、今度ホントに二人で食事行きませんか?お詫びじゃないですけど……。」
気付くと、僕はとんでもないことを言っていると冷静になれば分かるが、この時の僕は必死だったのかもしれない。
Yさんは、キョトンとした顔をした後、また笑顔になり
Y「じゃあ、時間ある時に行きましょうか(笑)それじゃあ、また明日の交代の時に。」
と言って車のエンジンをかけて帰宅したのだった。
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