30分くらいして、Yさんからの電話が鳴った。
羽山「はい!もしもし!」
Y「もうすぐ着くー。とりあえず駐車場の入り口あたりにいるね。」
羽山「分かりました!じゃあ、家出ますね。」
僕は部屋の最終点検をして、部屋のアロマミストのスイッチを付けてから、家を出た。
スーパーまで走っていくと、駐車場近くでタクシーが1台停まっており、Yさんが降りてくるのが見えた。
僕はYさんに近付く。
Yさんも、僕に気付いたみたいで、ピンク色のキャリーケースを引いて僕に近付いてきた。
Y「こんばんは。」
羽山「こんばんは。」
Y「ゴメンね、突然で(笑)」
羽山「いえ、暇でしたから。」
Y「そうなんだ。じゃあ、同じだ(笑)」
羽山「はい(笑)」
僕はYさんのキャリーケースの取っ手を握る。
Y「あ、大丈夫、大丈夫。自分で持つから。」
羽山「いや、曾祖父の遺言で女性が大きな荷物を持ってたら率先して持つように言われてますから。」
Y「曾祖父(笑)」
羽山「だから、僕の曾祖父に免じて僕に持たせて下さい(笑)」
Y「分かった(笑)ありがとう。」
僕はYさんの前を歩きながら、家に向かう。
Y「あー。周りの家も暗いねぇ。」
羽山「はい。あまり年齢層高くないから、周りの家はほとんど帰省してて、年末はいつもこの辺りは不在の家が多いですね。」
Y「あー、そうなんだ。」
羽山「新年になって帰ってくると、泥棒に入られた家とかもありましたね。」
Y「あー、確かに!そういう危なさはあるかも。」
羽山「うちは僕がいるから大丈夫ですけど。」
Y「なるほど(笑)羽山君の家は心配なさそうだね。」
羽山「はい。あ、着きました。ここが僕の家です。」
Y「お。結構大きいねぇ。」
羽山「そうですか?昔から住んでるから、よく分からないですけど、周りの家とほとんど変わらないですよ。さ、どうぞ。入って下さい。」
僕は家の鍵を開けて、Yさんに中に入るよう促す。
Y「じゃあ……おじゃましまーす。」
羽山「どうぞ。」
僕はYさんにスリッパを出した。
Y「ありがとう。」
僕は、Yさんのキャリーケースをリビングの端に置きながら、Yさんに飲み物を準備する。
羽山「どうぞ空いてる席に座って下さい。Yさん、何飲みます?」
Y「あ、何か悪いよ。大丈夫。」
羽山「そんなこと言わないで下さい(笑)実は、梅酒カクテルありますよ(笑)」
Y「え?あるんだ(笑)」
羽山「もちろんです(笑)」
僕は、Yさんが来る前に近くのコンビニで梅酒カクテルを買っておいた。
以前、Yさんとお酒コーナーの陳列をしていた時に、Yさんが好きだと言っていたのを覚えていた。
Y「じゃあ、ちょっとだけね(笑)」
羽山「はい(笑)ちょっとだけ(笑)」
僕はグラスに氷を入れて、僕とYさんの二人分の梅酒カクテルを注ぐ。
冷蔵庫からチーズを出して、お盆に乗せてリビングで待つYさんの前に置いた。
羽山「はい、お待たせしました。」
Y「ありがとー。随分、手際いいね。主人とは大違い(笑)」
羽山「あー、僕両親共働きだから、家事は結構やってるんですよ。ちょっとした料理なら、そこら辺の女子より得意かもしれません。」
僕は少しだけ胸を張りながら、Yさんの対面に座る。
羽山「じゃあ、一応。乾杯!」
Y「乾杯!て、何に(笑)」
羽山「んー。あ、そうだ。僕が初めて自分の家に女性をあげた記念です。」
Y「え?そうなの?」
羽山「そうですよ。5歳下の弟と7歳下の妹が常に家にいたから、彼女とか連れてきたことないんです。」
Y「へぇ~。何だか以外(笑)」
羽山「そう思いますかぁ。でも、今日は誰も家に以内ですからね(笑)」
Y「流石に私も誰かいたら来れない(笑)」
羽山「まぁ、そうですよね(笑)」
Y「でも、やっぱり大きい家だね。リビングはうちより広い。」
羽山「そうですか?」
その後、二時間くらい僕はYさんと雑談をして過ごした。
そして、日付の変わる僕の腕時計のアラームが鳴る。
Y「あ、もうそんな時間なんだ。」
羽山「ですね。早いなぁ。」
一瞬の沈黙の時間が流れ、Yさんが口を開いた。
Y「そろそろ……羽山君の部屋行く?」
羽山「はい。行きますか。」
僕は椅子から立ち上がると、Yさんも立ち上がる。
羽山「二階です。」
Y「分かった。」
僕は、Yさんを誘うようにして、二階へと昇り、自分の部屋に向かった。
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