朝6:45、コンビニの駐車場、車内でタバコを吹かしていた。
[1残]と、妻には5:00前にLINEを送った。
孝子さんには どうしようか?、そんな事を考えていた。
いくら『いつでも(電話)出られるから』とは言っても 流石に朝っぱらからと言うのは気が引けた。
何と言っても ご主人のルーティーンが分からない[…聞いてみるか?それとなく] そう思ってタバコを消した。
玄関を開けると 忙しない妻の足音がした。
いつもの様に 支度をしているらしい。
『お帰り、寝坊しちゃった』
『ご飯、適当に食べて』
「うん、いいよ」
『今夜は? 残業?』
「たぶん定時」
「明日 休みでしょ?」
『休みたいけどね』
『役所の人来るから そん時だけ行ってくる』
「朝から?」
『ううん、11:00』
「そう、寝てられるんだ?少しは」
『うん。行ってくる』
「行ってらっしゃい」
毎朝 決まった様に慌ただしく出てゆく妻。
〔お帰りなさい お疲れ様〕
妻の車が走り出して すぐに通知音。
〔ただいま〕
〔ご飯は? 来る〕
〔着替えて 弁当箱洗って それから〕
〔お弁当はいいわ そのままで、(勝手口)開けとく〕
〔ありがとう〕
昨日の半パン半そでに着替えて、弁当を持って 慌てて飛びだした。
〔おはよう〕なのか〔ただいま〕なのか選べないまま勝手口を開けた。
『おかえりー』と孝子さんが迎えてくれた。
台所に上がるのを待ちきれなかった様に 腰に両手を回して胸に顔をうずめている。
その孝子さんが『おかえり』と 小さな小さな声で言った。
忘れてしまっていた 遠く青い記憶が蘇えり、思わず孝子さんの頭を撫でていた。
手際良く朝食を並べる孝子さん。
鰆?の西京焼き 味海苔 お新香、小鉢にはウズラと青のりの浮いたとろろ。
上品によそられた味噌汁にご飯。
「いただきます」、そう とろろを混ぜた。
『なぁに?朋さん、ニヤニヤしちゃって』
「うん?、精を付けて…ってやつかなぁって」
『もお!』
「でも即効性は無いと思うけど(笑)」
『お弁当も焼き肉か何かにすれば良かったかしら(笑)?、今晩は そうしようか?』
「ゴメン、明日休みなんだ、その…香代さん」
『あら、お休みなの香代さん、明日』
「うん。あれでも施設の責任者でさ、施設自体は日曜だけが休みらしくて、で、労働基準法とか五月蝿いでしょ今は何処でも、それなら土曜は絶対出る代わりに〔なか日〕に休むって、5連勤6連勤はキツイからって」
『そうなんだ?、休みなんだ 明日』
「だからさ、お弁当も 焼き肉もさ…」
『そう?、…そうね』
『ほら、どうぞ、食べて 朋さん』
「うん、いただきます」
『食べながらで良いわ…』
『朋さんは?、お休みとか』
「ん?、俺は土日祝日、日勤は8:2017:00夜勤は20:00~5:00、残業は不定、夜勤は休憩時間が長いから、そんなトコかな」
『そうなんだ?、て事は 土曜日は1人なのよね?朋さん』
「まあ、そうだけどね」
『香代さんは?、毎日遅いみたいだけど』
「施設長、だからね一応」
『そうだよね?、大変ね香代さん』
「…そうだね。ありがとう ご馳走さま」
『うん』
『珈琲の方が良い?』
「うん」
「ビールは やっぱ利くわ。また変な事しちゃうしさ」
『…そうね』
「て言うか、孝子さん強いんだ?お酒」
『顔に出ないだけよ、昔っから』
「そんな風には見えなかったけど(笑)」
『意地悪なんだから、酔った勢いってやつよ』
「勢い だったんだ?アレ」
『ホント、意地悪ね?朋さん、ふふッ』
『どうする?、帰って寝る?、はい灰皿』
「ありがとう、…どうしようか?」
「眠くても 元気なんだけどね…」
『なにそれ?、眠くても元気なんて可笑しい、はい珈琲、おまたせ』
「おかしいかなぁ」
「疲れ何とかって言うじゃん、ほらッ」
俺は[ズッ]と椅子ごとさがった
『あら!ホント、お元気お元気!』
孝子さんが覗き込んでいる
『…どれどれ?』
俺の膝に両手を置いて 孝子さんが しゃがんだ。
俺は 少しだけ 尻を前にずらした。
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