気が付いたらいつもの様に店長に介抱されている。
私は今、体験してきた事で赤面してしまう。
店長の顔が直視出来なかった、ついさっきまで敵の術中にハマったとは言え
抱かれていた本人がそこに居るのだから・・・。
私は本当の夫に背徳感を感じるより、店長に対する背徳感を強く感じる様になっていた。
それでも、夫との生活は続けている、それは敵の目を欺く為・・・本来なら夫に感じる筈の
背徳心は無くなっていたのだった。
それと共に私生活を監視されている様に感じています。
朝ランニングしている時や、自宅からお店迄の道すがら感じる視線でした。
特に朝のランニングでは嫌らしい視線をさらに強く感じていました。
(今日もコースを変えたな・・・、あの女、俺に気が付いているのか?・・・ふふふ、そんな訳ないか・・・
さて、挨拶しておくか・・・)
『奥さん・・・おはよう・・・今日も逢ったね・・・奇遇だね』
声を掛けてきたのは、この辺りで空き缶を拾うホームレスの男・・・、毎日コースを変えてもどこかで
すれ違う・・・その度に声を掛けてくるのだった。
『あ、おはようございます・・・』
驚く私の顔を見るのが楽しいのか、不気味な顔がニヤついていました。
でも、何もする訳でもないのだけれど、コースを変えても逢うのは変だと思っていました。
ランニングも終盤になると休憩をとります。
冬だけど薄着のランニングウエアでも汗をかいて下着が透ける様になります。
少し汗を拭って、あとはあの橋を渡って帰り道になるんです。
でも、どうしてもあの場所を通過しなければなりません。
人通りが少なく、一日中薄暗い通路を・・・ホームレスの溜り場なのです・・・。
私のイメージはまるでモンスター達の巣みたいに感じてしまいます。
今度は、お店からの行き帰りに感じる視線でした。
書店部の勤務中でも、行き帰りの通勤中でもその視線を感じました。
でも、振り向いても誰も居ない・・・書店部のお仕事中もおねだりタイムのおひねりの時に
際どい場所にお金を入れてくる・・・だけど誰かは判らない・・・。
(はるなちゃん・・・今日も綺麗だよ・・・はるなちゃんは、僕のお嫁さんになるんだ・・・
はるなちゃんの全ては僕の物・・・家だって、知ってるんだ・・・)
店長を含めると三人の男の欲望を一身に受けている事を私は気付いていなかった。
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