結衣が働いているパーマ店での結衣の休日は水曜と日曜だった。9時過ぎに出勤し夜7時過ぎに帰宅する。俺は土日が
休みで、8時に出勤し夜7時前に帰宅する。付き合いで月に1度は夜遅くなることもあった。結衣は仕事を休んで時間を
作らない限り、俺に気付かれずに浮気をする曜日は水曜だけだと思われた。それで、俺は毎週水曜に自宅に盗撮用の隠しカメラ
を居間と寝室に置くことにした。また、結衣のお出かけ用のバッグに、水曜はボタン型の盗聴器を入れておくことにした。
これは拾った音を電波で飛ばすタイプで、電池が十数時間しか持たないためだった。結衣の車にはGPS追跡装置も付けた。
これ以上ないというくらいの重装備の浮気追跡だった。これで本当に笑ってしまうほど結衣の行動が分かってしまった。
追跡を始めた水曜日、結衣の車が溝口のアパートに動いた。昼過ぎだった。俺は休日出勤を引き受ける代わりに会社を
早引きし、溝口のアパートに向かった。近くに車を停めて盗聴器のレシーバーのスイッチをいれた。いきなり結衣の喘ぎ声が
聞こえてきた。ゴトゴトとベッドの軋む音に混じって、からだの奥から湧き出してくるような結衣の喘ぎ声だった。
俺は10分以上目を閉じてその音を聞いていた。急に溝口の動きが速くなった。
「だめだ、もう我慢できない。出してもいい?」
「いいよ、出して。」
「どこに出そうか?」
「中に出して。いっぱい中にちょうだい。」
俺は自分の耳が信じられなくなるほど驚いた。ガタガタガタとベッドが揺れる音がして、妻の嬌声が大声になったかと思うと、
その音がピタリとやんだ。水に潜っていた人が突然水面に出て大きく息をするように、妻は大きく声を出して息をした。
「ハーー、すごいワ、隼人、こんなの初めて。いっぱい出たね・・・すごい、私、逝っちゃったよ・・・・アハハハハ」
その声に続いてキスを交わす音がした。俺は聞きながら悲しさに涙があふれ出ていた。ここまで完全に寝取られるとは
思っていなかったのだ。セックスが終わって結衣と溝口は俺の話をし始めた。
「健太はどういう感じなの?」
「二人のこと気づいているかってこと? わからないみたいだよ。」
「そうなの。エッチしても分からないのかな? 何か変だな、とか。」
「健太とは最近エッチしてないもん。」
「セックスレスの夫婦なのか・・・そんなものなのかね。」
「私たち、そんなものなの。」
俺は受信機のスイッチを切って家に帰った。妻を寝取られるって、こんなに悲しい事なんだと初めて実感がわいてきたのだった。
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