三好が亜希子に向き直り静かに説得する。
『なぁ社長、もうひとりで全部背負うのはやめにしようや。俺達がいるじゃねぇか。みんなで頑張ればなんとかなるって』
彼女は涙を流しその場に泣き崩れた。
「三好さん、ごめんね...私..みんなのこと信じきれてなかったの...私がなんとかしなきゃって必死だった...それでこんなことを...」
『分かってくれればそれでいいんだ、アキちゃん。で、最後にコイツを一発ブン殴ってもいいか?』
『?!!』
ドカッ!!
三好が鮫島の鼻っぱしを思い切り殴る。
鼻血を出してフラフラとよろける鮫島。
『ぐっ、くはぁ、、ち、ちくしょう、覚えとけよ!』
鮫島は靴を履くのも忘れ、一目散に逃げ帰っていった。
その後のトミタモータースといえば、どうにか信頼のある銀行から融資を受けることができ、なんとか経営再建の目処が立ったようだ。
亜希子はじめ、工員達は今まで以上に一丸となってこの工場を守っていくと胸に誓ったのだった。
【おわり】
※この小説はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
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