亜希子が戻ると、玄関には作業着姿の三好が立っていた。
眉間にシワを寄せ険しい顔をしている。
「み、三好さん、急にどうしたの? 今日は非番でしょ?」
三好は亜希子の目をじっと見据えながら声を荒げた。
『社長、あんた鮫島とつるんでいったい何やってんだよ!』
「何って..それは...」
口籠る亜希子。
鮫島が二人の間に割って入る。
『まぁまぁ、三好のダンナ、この間はすまなかったな。なんの勘違いか知らんが玄関先でそんな大声を出さんでもいいじゃないか。さぁ帰った帰った』
『うるせぇ! てめぇこそ、よくもうちの社長をいいように使いやがって!』
三好が土足のまま上がり込み、鮫島の胸ぐらを掴む。
『うぐっ、、何を、、そ、そんなでたらめを、、ぐぅっ、』
『でたらめだと?! これでもまだそんなことが言えんのか?』
三好は作業着の胸ポケットから一枚のメモ紙を取り出し、鮫島の眼前に突きつけた。
『そ、それは、、俺の大事な顧客リスト、、ど、どうしてお前がそれを?! ま、まさかあの時、、、』
鮫島の顔がみるみる青くなっていく。
『何が顧客リストだ! これはただの売春リストだろうが! 一件一件問い詰めに行ったらどいつもこいつも簡単に吐いたぜ、全部お前から持ちかけられたってな!』
『く、くそぉ、あいつらぁぁ』
人望なくあっさりと裏切られた鮫島は悔しそうにギリギリと歯軋りを立てていた。
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