『まあ、誰にも言うつもりもないけど。兄ちゃんも少しは考えやぁ~?』
ベッドに寝転がった僕の頭では、吉川さんの言葉が繰り返されていた。
『あのボケ、見つけやがって!』という気持ちと、彼女の言葉で考えされられる気持ちが交差をし、頭を駆け巡る。
そんな僕は、ここで加代子さんにLINEを送っている。『用事が出来たから、3時にして。』という、今日のデートを遅らせる内容のものだった。
4時間遅らせたことに意味はない。ただ、すぐに会うことは危険だと判断をしてのことでした。
正午になり、僕は窓から歩く加代子さんの後ろ姿をながめていた。本当であれば、二人で一緒にいる時間である。
僕からの連絡を受けた彼女が、買い物へと出掛けているのだ。その後ろ姿に、少し申し訳なさまで感じてしまうのです。
昼寝から目を覚ました僕。時計を見れば3時を過ぎていて、迎えにいく加代子さんのことを考え始めていた。
しかし、それでも出てくるのは吉川さんのあの言葉。本人は悪気なく言ったつもりでも、当人にはズシッと重くのしかかる。
『肉体関係もあるんだろ~?』は、『セックスばっかりしてるんか!?お前ら、気が狂っとんのか!?』と強く言われてるような気持ちにもなってしまう。
そんな時、加代子からLINEが入った。『おばちゃんも用事が出来たので、今日はなしにしましょ?』という内容でした。
この文章を見て、少し安心した自分がいたのは確かです。朝、吉川さんにあそこまで言われてしまい、『舌の渇かぬうちに。』とはならなかったのです。
そして、午後8時21分。こんなLINEが送られて来ました。それは目を疑うような内容、こんな書き出しでした。
『ナオミチさんへ 私もいろいろと考えました。考えた結果、あなたとお別れをすることが最善だと判断を致しました。』
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