午後8時過ぎ。僕達は、楽しんだホテルをあとにすることになります。加代子さんはせっせと動き回り、最後の確認をしているようです。
ゴミ箱には、大量のティッシュペーパー。それにくるまれているものは、もちろん僕の出した精液。それも、彼女の口の中から出されたもの。
身体の疲れきった彼女は2回戦目を嫌がり、その口で受けとめてくれたのです。
部屋を出ます。彼女はバッグを肩に掛け、丁寧に扉を閉めました。階段を降りる時、『外は寒いわねぇ~?』と言いながら、僕の腕に手を掛けます。
コツコツという音を鳴らしながら、僕達は階段を降りるのです。その光景は、まるで落ち着いた熟年の夫婦の姿。足りないのは、僕の年齢だけなのでしょう。
あれから2週間が経ちました。日曜日です。僕は母に叩き起こされ、朝の7時半過ぎだというのに町内の小さな空き地に立っていました。
手にはゴミ拾いのトングと袋、町内の皆さんで掃除を行うのです。早く来すぎたのか、僕と母を含めまだそんなに人は集まってはいません。
寒くて手を擦り、足は地面を何度も蹴ります。隣にいる母は丸くなっていました。
8時が近くなり、ドンドンと人が集まり始めます。もちろん、その中に加代子さんの姿も見えました。
みんなに丁寧に頭をさげ、『よろしくお願いします。』と挨拶までしています。彼女は、うちの母にも声を掛けて来ます。もちろん僕は、そのついで。近所に住む男の子なのです。
掃除が始まり、各自が散って行きます。範囲は広く、時間になればまたここへと戻ってくるシステム。僕は母と共に、東へと向かいます。
おばさんも同じ方角を目指すようです。近所のおばちゃん連中と話をしながら、掃除というよりはナントカ会議に近い気がします。
東へと向かったのは、10人程度。もちろん、僕以外はおばさんばかりです。中には、男っぼい性格のおばさんもいて、そんな人がちゃんと仕切ってくれます。
30分くらいが経ち、範囲の広さと疲れなのでしょうか、おばさん達の手もおろそかになり始めました。
集団はバラバラになり、点々と散ってしまうのです。若い僕は元気です。ちゃんとゴミ拾いをしながら、前へと進んでいます。そして、もう一人元気な方がいました。
それは場を仕切ってくれていた、元気すぎるおばさん。名前は『吉川さん』と言い、声は大きく、ハキハキとしていて、昔から苦手なタイプである。
そのおばさんが、負けじと僕に着いて来ます。気がつけば、最終地点にまで辿り着いたのは、僕と吉川さんの二人だけだったのです。
もうすぐ作業終了の時間。『兄ちゃん、そろそろ帰るか?』と彼女に言われます。来た道を引き返し始めると、遠くに母と数人の姿が見えます。
全然、辿り着けなかったようです。その中には、加代子さんの姿も見えました。もう、団らんをしているように見えます。
『もぉ~!しょうがないのぉ~!』、そんなだらしのないおばさん達の姿を見て、吉川さんがそう言います。僕も、クスクスと笑ってしまいました。しかし、吉川さんさんの放った一言に僕は凍りつくのです。
『兄ちゃん、あの川田さんと仲良くしてるんやろ~?付き合ってんのか~?』
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