この頃、加代子さんの口からは朝のウォーキング仲間のことが多く語られるようになっていました。
どちらのおばさんにも馴染みのない僕には退屈な話題でしたが、それをなぜか楽しそうに語る彼女を見て、悪い気持ちも起きません。
どちらかと言えば、あまり社交的ではない加代子さんですから、きっと仲の良い友達が出来たことが嬉しいのです。
それは廊下の奥に置かれている畳んだ洗濯物を見ても分かります。
明日の朝に着ていくつもりであろう白のジャージが、すでに一番上に置かれているのです。
タワーのように積まれた洗濯物。そこへ加代子さんの細い手が差し込まれ、引き出して来たのは、地味なベージュの下着でした。
これから風呂へと入り、この下着を身に付けますが、それが一時のことであることは彼女が一番分かっています。
時間が経ち、寝室へと向かえば、この地味な下着は役目を終え、愛する男のために派手なものへと履き替えるのですから。
午後7時。普段であれば、まだその男が現れてはいない時間。しかし、この日は早くに退社をした彼がもうリビングに座っています。
おかげで夕食や入浴は次々と前倒しとなり、加代子さんが夜の営み用の派手な下着を身につけたのも、1時間速いものとなっていた。
その下着をシルクの夜間着で隠し、お顔の手入れのために化粧鏡の前へと座った彼女。
鏡を覗き込み、先にベッドへと入った彼氏の姿を見ますが、彼は自分ではなく、天にかざしたスマホを眺めています。
その姿にほっとした気持ちと、少し残念な気持ちとが交錯をするのでした。
加代子さんの顔へと塗られていく化粧水、乳液、仕上げのクリーム。彼女の手で擦り付けられ、肌へと浸透をしていきます。
そんな彼女の口は緩み、『フッ…、』と声をあげました。加代子さんが鏡越しに見ていたもの。それは、後ろに立つ僕の姿でした。
『なぁ~に?…、まだ準備してるでしょ?…、』
イタズラっぽく、そう言ってきた彼女。鏡越しに僕を見る目も、そんな目をしていました。
彼女の後頭部で束ねられたお団子ヘアー。僕の唇はそれを避け、露となっているうなじへとたどり着きました。
そこへ小さく口づけをすると、肩に掛かっているシルク地の夜間着を掴んで開き、鎖骨へと唇を這わせるのです。
『ちょっとぉ~。ナオちゃん、待ってってぇ~…。』
口ではそう言って抵抗をみせる加代子さんでしたが、帯をほどかれ、鏡の前で簡単に下着姿となってしまいます。
彼女が僕のために身につけてくれた下着は、刺繍の施された紫色のもの。そして、いつになく小さな感じがします。
『なによこれぇ~?…、加代子、めっちゃイヤらしいやろぉ~…、』
夜間着をズリ下ろしながら、そう伝えた僕。鏡に写る彼女を見ると、その顔はハニかんでいました。
『お願い…、立たせて…。恥ずかしいから…。』
それは、数分後に彼女の口から吐かれた言葉。紫のブラジャーは片方が上げられ、大きな乳房が揉まれています。
そして、同じ色のパンティーの中には僕の手が入れられ、その股間を気持ちよくさせているのです。
毎朝のウォーキングによって、かなり絞り込まれた彼女の身体。僕にとっては、自慢のスタイルとなっています。
しかし、若い頃の自分の身体を知る加代子さんにとっては、まだまだだったのかも知れません。
男に弄ばれている老いた身体を鏡で直視が出来るほど、彼女は強くはなかったようです。
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