【act 11 ~ この町 ~ 】
月曜日の朝、僕は会社へと向かうために玄関の扉を開く。横断歩道のない市道を横切り、マイカーを停めてある駐車場へ入るのだ。
そこへ、遠くこちらへと歩いて帰ってくる三人の女性の姿が見えた。同年代の人達らしく、皆さんジャージを着込んでいる。
その中の一人が加代子さんでした。彼女がウォーキングをしているのを知って、いつの間にか二人の仲間が出来たようです。
おばさん三人は立ち止まると世間話を始めていました。ウォーキングが終われば、おばさん連中の会話で盛り上がるのです。
僕は遠くから頭を下げ、車へと乗り込みました。それに気づいて頭を下げたのは加代子さんと一人の女性。
もう一人は遅れてしまい、頭を下げるタイミングを失ったようです。
車を発進させ、三人の横を通り過ぎます。もう僕になど関心のない三人は、気にもせずおばさん雑談を楽しむのでした。
バックミラーに写る三人のおばさん。加代子さんの美貌を知っている僕は、『彼女が一番だろう。』と自慢げに見ています。
案の定、その隣に見えたおばさん論外でした。しかし、三人目の女性の顔を見て、一瞬だけ目が奪われます。
怪しい切れ長の目は、『誰だろ~?』と思わせるものでした。
それでも、僕の目はまた加代子さんを捉えています。笑顔で話している彼女を見て、昨夜のことを思い返すのでした…。
前日の日曜日。珍しく私用で昼間は不在だった加代子さん。会えたのは、午後7時を過ぎていました。
LINEで帰宅をしたことが告げられ、あてもなく外出をしていた僕はその足で彼女の家へと向かいました。
リビングに入り、『今日はどこに行ってたの?』なんてことは聞かず、エプロン姿でキッチンへと立つ彼女の姿を見ています。
ただ、そんな優しい気持ちになれたのは、たったの10分程度のこと。
彼氏を置いて1日外出をして来た彼女には、やはりお仕置きが待っています。
『ナオちゃんって~!…、どうするのぉ~!?…、』
テーブルの上の小皿には、僕のために盛り付けかけたフルーツがあり、もう少しで完成予定だったと思われる。
しかし、その手は止まってしまい、完成をすることはありませんでした。
その替わりに、僕は両手に2つの大きな果物を手に入れていました。とても柔らかく、ブラジャーという袋が包み込んでいます。
スリッパを履いた加代子さんの足は、一度床を踏み、『もぉ~、やめてぇ~…、』とやるせない声をあげました。
テーブルの上にはフルーツを切ったばかりのナイフがまだ置かれていて、乳房を揉む僕も一瞬その存在を気にしてしまいます。
しかし、彼女がそんな危なっかしいナイフなど手に取ることはありません。
エプロンの横から入り込み、シャツの上から胸を揉んでくる邪魔な手を、両手で制して来ます。
『ナオちゃんって~、何をするんよぉ~!…、どうしたいのぉ~…、』
そう聞いてきた加代子さんの両足は、一瞬でキッチンの床から浮いていました。
僕の両手がお腹へと巻き付き、後ろから彼女の身体を持ち上げてしまうのです。
欠かさず行っているウォーキングの成果でしょうか。この時の彼女には、それが仇にもなったようです。
その身体は明らかに以前よりも軽く、僕の手でいとも簡単にリビングのソファーへと運ばれてしまうのでした。
手はシャツの中へと入り、ブラジャーを押しのけていました。揉まれる胸では、すぐに黒い乳首が起き上がります。
それでも、作りかけたテーブルのフルーツのお皿に目を向けた彼女でしたが、その視線さえすぐに奪われました。
傾けられた顔は男の唇を受けとめ、彼女の気持ちもそちらへと注がれてしまうのでした。
盛りつけかけたお皿の中で、ある果物がカタッと揺れました。バランスを崩してしまい、グッとお皿からせりあがったのです。
それは、くしくも半分に切った黄色いバナナ。これからの彼女の行動を暗示させる、取れたての元気なバナナでした。
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