水本さんの出勤は金~日曜日の週3日。月にすると12日くらいとなる。
母も夜勤をすることがあるが、毎日ではないため、彼と会うのはせいぜい月3日ってところか。
しかし、実際のところ、母は夜勤を行う日は、ほぼ毎日彼と顔を合わせることとなっていた。
それは、平日の夜だった。母は駐車場の隅に停まっている、見馴れた乗用車を見掛けます。それは、来るよていもない、水本さんの車でした。
フロントの母は駐車場へと出向き、暗い車の中を覗き込みます。そこには見えたのはスマホの明かり。中に座っている、彼の手に持たれています。
『水本くん?どうしたのー?待ち合わせでもしてるー?』
不思議そうに聞いた母だったが、彼の返事は呆れたものでした。『ここ、wifeあるので…。』、彼はそのためにこの駐車場にやって来たのです。
確かにこのホテルは駐車場にまでwifeが飛んではいます。しかし、わざわざその為にやって来るという彼の考えが理解出来ません。
戻った母は、てっきり『安藤さん?』と疑いましたが、彼女は今日のシフトには入っていません。やはり、彼はスマホで遊ぶために、ここまで来たのです。
それは、彼の言った通りでした。ほぼ毎日に夜に現れるようで、他の従業員もみんな見ているのです。
『水本くん?事務所入りー。そんなところで、目が悪くなるよー…。』
他のフロントの方は、どうしているのかは分かりません。ただ母は、本当に彼を心配したのです。
そして何より、カメラのモニターに映る彼の車を見ると、『中にいる。』と思うだけで不快なのです。
『ありがとうございます。すいません。』
そう言って、彼はあの長椅子に座りました。あの少年が座っていた場所と同じところです。
ただ違うのは、少年は女の自分に興味を持ってのことでした。しかし、この男性は顔の前にスマホかざし、ただアプリで遊んでいます。
午後10時になり、『松下さん、ありがとう。帰ります!』、それはいつもの行動。彼は女になど、興味はないのかもしれません。
彼のスマホには、このホテルで働く4人の女性の画像と動画が収められていた。フロント3人と、清掃の安藤さんです。
彼とのセックスを繰り返す彼女は、もちろん他の方とは違い、過激なものまで撮られてしまっています。性行為だけではなく、プライベートまで幅広くです。
ただ、他の3人は完全に盗撮をしたもの。母は知りませんでしたが、他の2人のフロントも気づかって、彼を事務所へと入れていたのです。
みんな、長椅子に座って彼はアプリを楽しんでいるのだと思っていました。しかし、それは違っていました。
何気なく見せるフロントのおばさんの表情を、何枚も盗み撮りをしていたのです。
車を停めたその車内では、また彼がスマホを握っています。そこへ送られていたLINE。しかし、彼はそれを見ることなく、ある女性の画像を見ていました。
『松下佳世』、僕の母です。今、彼にLINEを送ってきた安藤さんには申し訳ないですが、次の獲物を狙う彼の気持ちはもうあなたにはないようです。
母の画像が閉じられ、LINEが開かれました。そこに送って来た、一本の動画。
中身は彼氏に歓んで貰おうと、たった今撮ったばかりの自分のオナニー動画でした。旦那も家族もいるなか、彼のためにヒヤヒヤしながら撮影しました。
再生はされましたが、すぐに停止され、ゴミ箱へと消えて行きます。
『飽きた…。』
心の中でそう言い切った水本。その気も知らず、安藤さんのエロ動画は何本も送られてきますが、残念ながら彼のスマホに残された本数は『ゼロ』でした。
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