稲原くんと会う機会が増え、母は彼のある行動が気になり始めていました。それは、清掃を行う部屋が一定ではないこと。
普通であればそのフロアー全てを片付け、他の階へと移動をしていきます。能率を上げるため、みなさんそうしていました。
しかし、彼だけは一定ではなかったのです。2階を清掃していたと思えば、いつの間にか3階、それはやはり母の目には不自然に感じていたのです。
そのことを、母は彼にさりげなく伝えました。その時、彼の顔色はなく、やはり何かがあると考えていました。
母の注意もあり、しばらくはおとなしかった稲原くん。しかしこの日、若い彼を惑わせる女性の声が隣の部屋から聞こえて来たのです。
それは、キツい大人の女性の声。一緒に居るであろう男性の声はなく、聞こえてくるのは『お前はアホかー!』、『えけつなぁー!』と汚ない言葉。
強い女性は、彼の憧れでした。そして、とうとう、彼は隣の部屋との壁に耳を当ててしまうのです。
テレビを観ていた女性。しばらくしてお風呂へと入り、ついに彼氏とのベッドイン。そこで、『お前は、お前は、』と彼氏をお前呼ばわりです。
しかし、メイクラブが始まると一変をしてしまいます。『やめてぇ~!…、もうやめてよぉ~!…、』、何をされているのかは関係ありません。
あのキツかった女が、ベッドの上ではその男のされるがままとなっているのです。
若い稲原くんは、その興奮を抑えることが出来ませんでした。自然と下半身は露出をし、自分のモノを握って擦り始めます。
その瞬間、彼は顔も見えない隣の部屋の女を抱いていたのです。射精が近づき、このままでは壁を汚してしまうことも分かりました。
それでも、自分を制御できなかったようです。
この日のフロント担当は母でした。この頃になると、お客が入室をしたその部屋の隣を、彼が狙って掃除に入ることを母は突き止めていました。
そして、若い彼であれば、隣の部屋へと耳を傾け、自らの手で処理をしていることも…。
午後6時15分。タイムカードを押すために、彼が事務所へとやって来ます。15分遅れたのは、母に合わせる顔がなかったからでしょう。
いつもとは違い、黙ったままカードを押し込む稲原くん。その顔には元気はなく、やはり気にした母は声を掛けています。
『稲原さん?コーヒー飲んで帰りぃ~。ちょっとだけ、私とお話しよ?』
彼の口からは返事はなかった。ただ、その頭はコクリと頷いていました。
『なにをショボくれた顔してるんよー!』
長椅子に座った彼にコーヒーを差し出した母は、笑顔で彼を笑い飛ばしました。それでも、彼の顔は冴えません。そんな彼に、母はこう続けました。
『若い男がセンズリかくって、当たり前やんかぁー!誰でも毎日するやろー!ただ、あなたが悪かったのは、それを部屋の壁に出したこと。それだけよー?』
母は自分のコーヒーを口にしながら、ここでも笑い飛ばしています。きっと、うつ向いた彼の顔が上がるまで、そんな話を続けると思います。
そんな母なのです。
彼の顔が上がったのは、母の次の言葉でした。顔は晴れ、逆に好奇心まで引き出してしまったのかも知れません。
『私なんか、あんたみたいな年の頃、毎日毎日自分の部屋でオマンコばっかり触ってたわぁー!オナニーしたいの、そんなの当たり前やろー?』
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