手を繋いでもショウコさんは特に拒否することもなく話しかけてくる。
「カズマさん、スタイルすごくいいですね。足長いし。」
「ああ、そうみたいですね。自分ではわからないんですが。手足が長いみたいで服のサイズがなかなか合わなくて。そのおかげか、身長高くないのになぜか高く見られるんですけどね。」
ヒールのあるサンダルを履いてるショウコさんとはほぼ変わらない。
「ああ、そうなんですね。たしかに低い感じは全くしませんね。」
こんな話をしていても仕方ないので、聞きたいことを聞く。
「ところで、ショウコさん、なんであんなサイトで?よく見られてるんですか?」
「んー、見るようになったのは一年前くらいでしょうか、、、」
「何かきっかけが?」
「特にないんですけど、欲求不満だったんですかねぇ。」
冷たい感じすら覚える綺麗な顔から、淡々と発せられた言葉にドキドキする。
「旦那さんとは?」
「あの人とは、もう何もないですよ。子供が生まれてからは一回か二回しか、、、なので10年以上ですか。子供がいるので会話はしますけど、最近は二人でいる時にはほとんど話もしません。仲が悪いとかはないんですけどね、不満もありませんし、、、」
「10年以上ですか?その間、そういうことは、、、言い方悪いですけど他の人とか?言い寄ってくる人もいたでしょう?」
「ふふ、ないですよ。一度も。言い寄ってきた人はいたんですかね~?わからないです。子供中心でしたし、不満はありませんでしたから。やりたいことは出来てましたし、させてくれてましたから。」
たぶん、言い寄る人はいたはずだが、この寄せ付けないような雰囲気と鈍感さというよりも気にしなさで、サラッと流してきたんだろうな。
「それなのに、なぜ急に?」
「んー、、、子供が大きくなって手がかからなくなってきたからでしょうかね。暇になったんでしょうね。」
「暇になったから、欲求不満に?」
「今、考えるとそうなんだと思います。」
「どうしてたんですか?」
「何をですか?」
「欲求の処理、、ですよ。ああいうサイトを見るってことは、欲求は大きい、、、ですよね?」
顔をじっと見る。ショウコさんの表情に変化はない。人を寄せ付けないような冷たい表情のままだ。
「そうですね。現にこうやってカズマさんに会っているわけで、求めるものはだんだんと大きくなっていったんだと思います。」
言葉を一旦切り、恥ずかしそうな表情を一瞬浮かべ、元の顔に戻る。
「したことなかったんですが、一人で慰めるようになりました。はしたないと思いながらも時々しています。そんな時にああいうサイトの存在を見つけました。」
表情を全く変えず、ショウコさんはオナニーをしていると明かす。まあ、そうなのだろうとは想像できるが、本人自ら、しかも美人が発するその告白に妄想が膨らむ。興奮を悟られないよう冷静に会話を続ける。
「したことないということは、結婚前とかはしてなかったんですか?」
「してませんでした。そういう欲求はなかったですから。暇になってムラムラしたんでしょうか、ちょっとよくわかりません。ただ、そういう自分に興奮していったのは確かです。」
表情が全く変わらないショウコさんの心の中はどうなっているのか?相当恥ずかしいことを話している。
「サイト見て、どう思ったんですか?そういうのも初めてだったんですよね?」
「そうですね。こういう世界があるんだなあって、そういう感じです。理解に苦しむ事もありますし、共感できる事もありました。」
「見てただけなのに、今回どうして?怖くなかったですか?」
「怖かったです。。。怖かったですが扉を開けたいと言う自分が常にいたのも事実です。カズマさんの書き込み見て、何となく惹かれたので。」
「ありがたいです。ですが、ああいうところって、たぶん分かってると思いますけど、やりたいだけの人が大部分だと思うんですよ。例えどんな約束をしていても、ホテルいけば関係ないって普通だと思うんですよ。今も私がそう思ってるかもしれません。それは思わなかったんですか?」
「、、、やっぱり、そういうもの、、、ですよね。。。ですが、自分の決断に後悔はありません。実際、カズマさんにお会いして、お話しして信じれると思っています。約束したことは守っていただけると。主人を裏切るつもりはありませんので。もう裏切ってるかもしれませんが一線は引いておきたいです。」
「そうですか。わかりました。ですが、あまりこういうとこで、相手を探すのはよくないと思いますよ。完全なSMの世界であれば、SEXなしってのは、よくあるかもしれませんが。 そういうものだと思います。」
「、、、そうですよね、、、」
暑さが厳しい中、ゆっくりと歩いてきたカズマ達の目の前にホテルが立ち並ぶエリアが見えてきた。
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