畳の上でぐったりと横たわる亜希子。
結った髪は乱れて解け、体は汗と体液で濡れている。
その横で鮫島がダルそうにタバコを咥えている。
既にネクタイまで締め直し身なりは整えてある。
鮫島が吸い終えたタバコを線香立てに押し付けていざ立ち去ろうとしたその時、窓から1台の原付バイクが工場の敷地に入ってくるのが見えた。
『ちっ、誰だよ』
鮫島はそっと息を潜めて窓際に立ち、バイクの主を確かめようとした。
ヘルメットを取ったその顔を見て鮫島が呟く。
『ちくしょう、三好のやつか』
三好の名を聞いた亜希子は助けを求めようと声を振り絞った。
「み、三好さん!! お願い!..助け...んぐぅ..」
鮫島がすかさず亜希子の口を手で塞ぐ。
残念ながら亜希子の声は外にいる三好には届かなかったようだ。
何も知らない三好は工場のシャッターを開け中に入っていってしまった。
『おいおい、おかしな真似するんじゃねぇぞ。よく考えてみろ、旦那の一周忌に仏前で他の男とハメまくってたことが奴らに知れちゃあ、社長の面目丸潰れ。この工場もおしまいよ』
「ひ..ひどいわ...」
『ふん、どうとでも言え。いいか、このことは一切誰にも言うんじゃねぇぞ!』
鮫島はそう吐き捨てるように言うと、三好に見つからないよう裏口から去っていった。
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