俺は単身赴任先のアパートに戻った後も、山崎のことを妻に問い詰めるか決めかねていた。問い詰めれば離婚になるかも
しれない。浮気をされても妻を失いたくない自分がいた。妻と山崎の関係をもう少し見極めたかった。離婚はいつだって
できる。妻だって山崎に本気になっているのかどうか分からない。成り行きで遊びが過ぎただけかもしれない。
時期が来て俺が本社勤務に戻れば、また元のさやに納まることだって十分にあり得ると思った。山崎だって4歳も
年上の人妻より若い女の方がいいに違いない。それに山崎が今度支店に転勤になる可能性だってある。
俺は次に取るべき行動を考えた。俺は仲のよい同僚に連絡して山崎の外勤先の住所と時間をチェックしてもらった。
来週の火曜と金曜に俺の家からそう遠くない得意先に行く予定がはいっていた。妻のパートは月曜から木曜なので、
来週の金曜の午後に逢う可能性が高い。土日は俺がふいに帰宅する可能性があった。月曜から金曜までは俺は通常なら
帰宅できない。俺は来週の金曜に年休を取って自宅に忍び込み、妻と山崎の逢瀬を調べることにした。
俺は証拠映像を撮影するためのズームレンズ付きのカメラと盗聴器一式を購入した。かなりの出費になったが今後の
修羅場を考えれば必要経費だと思えた。金曜の午後俺は自宅の前にいた。予想した通り浴室の換気扇が回り、かすかに
シャワーの音がし始めた。山崎が来る前に妻が身支度をし始めたのだった。俺は鍵で玄関の戸を開け自宅に忍び込んだ。
そして二階へ行く階段を上がり寝室に入ると、ベッド脇に盗聴マイクを見つからぬように設置した。それから一階におりて
階段下の物置に隠れた。この間3分と経っていなかったと思う。物置の暗闇の中で俺は辛抱強く山崎が来るのを待った。
寝室の盗聴器で拾った音声は電波で俺の受信機で聞くことができて、録音機能もあった。
午後4時、家のチャイムが鳴り、外勤の仕事を早めに切り上げた山崎が俺の予想通りにやってきた。
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