20分遅れて勝は配達を終えて帰ってきた。
「鵜飼寝すぎたのか」
食卓で朝食を待っていた牧野が言った。
「すみません」
「目覚ましかけとけ、俺は一度も寝坊はしてねえぞ、おかみさんが起こしに行ったんだぞ」
「えっ」
勝はハッとして台所に立つ和子を見た。
ふたりの言葉のやり取りを聞いていた和子は言葉を挟んだ。
「もういいのよ牧野君、鵜飼君まだ若いんだしね」
おかみさんに見られたのか・・・勝は顔を赤らめた。
その数か月後、牧野は卒業し故郷に帰っていった。
和子への思いはそれ以後募るばかりであった。
「おい鵜飼、俺どうしてもおかみさんの下着が欲しんだ何んとかしろ」
どすのきいた声で勝に迫っていた。
例の男で長年働いている三原といった。
「分かりましたから暫く待ってください」
勝は仕方なく引き受けてしまった。
その日、和子のいない時間帯を見ながら洗濯物をためる籠を覗いた。
勝が出した下着のほか和子の数枚の下着があった。
勝は辺りを気にしながら手を伸ばしてつかみ取り急いでポケットに押し込み部屋に入った。
和子の巨尻を包むショーツである、甘酸っぱい匂い、勝は鼻に押し当てていた。
牧野がいなくなって和子の気持ちは晴れなかった。
夫が亡くなって力になってくれたのは牧野で頼りにしていた。
初めて牧野と関係を持ったのは休刊日の前日だった。
経理で遅くなり牧野に依頼して済んだ夜だった。
疲れた様子の牧野に酒を奨めふたりで飲んだ晩だった、勝は友人の下宿で出向いていた。
牧野に酒を注ぐ時ふたりの目が合った、見つめる牧野に寄り掛かった和子を牧野は引き寄せた。
熱い接吻、その先二人は和子の寝室に入った。
まだ21の牧野、ジムに通っていたせいで強靭な体つき、和子の肉体は牧野を求めていた。
夫に無い野生味のある牧野、激しい交わりは弄ぶ肉体を満足させた。
ふと数か月前の勝の事を思い出していた。
勝はうぶな男に見えたがやはり男である、オナニーにまだ耽っているのだろう、和子は思った。
そんな矢先の勝の仕業だった。
※元投稿はこちら >>