美術部に仮入部して数日経っていた。
この日は文化祭の前日で、文化祭の出物が完成した事もあって、部員全員してジュースやお菓子を食べて談笑していた。
俺は、1番隅でジュースを飲んでいた。
途中から入部した俺は、文化祭の出物の制作にも関わっていないし、話すのも藤井サンくらいだった。
俺は、談笑している美術部員達を見ながら思った。
心の中で「なんで俺はココにいるんだろう。」って思った。
「藤井サンに近づきたくて、勢い余って美術部に仮入部までしてしまった。そしてこの1週間、描きたくもない絵をずっと描いてた…」と自分でも、この数日間やってきた事の意味が分からなかった。
とりあえず部活に来れば、藤井サンと喋る事はできた。
あとこの頃は、ちょこちょこ深夜に石川サンとセックスしていたから欲求不満では無かった。
だから、藤井サンが好きでもゴリ押しはしなかった。
そんな事を考えていると、不意に花園サンが「アンタは?」と聞いてきた。
俺は部員達の話を聞いていなかったから、何を問われたのか分からなかった。
俺は「えっ?」って表情でいた。
そしたら藤井サンが「K君は、なぜ美術部に入ろうと思ったの?」ってカバーしてくれた。
俺はまた「えっ?」となってしまった。
別に何の理由も無かった。
ただ藤井サンに近づきたかった。
だけど、そう言ってしまう訳にはいかないから黙ってしまった。
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