彼女はすごく機転がきいて飲み込みも早く優秀な事務員さんでした。
基本、事務所には彼女と私だけなんで当然雑談も多くなります。
「店長さんってご結婚なさってるんですよね?」
「ええ、嫁と子供が二人います」
「中川さんは?」
「うちは旦那と娘が一人です。」
「そうなんですね」
「店長さん優しいから奥さん幸せですよね」
「そんなことないですよ、中川さんとこはどうなんですか?」
「うちは全然ですよ、あーあ、店長さんみたいな人が旦那さんだったらなぁ笑」
毎日仕事の合間にこんな雑談をしていました。
彼女が入社して1ヶ月、歓迎会を兼ねて飲み会をすることになりました。
そして当日、歓迎会にはパートのおばちゃんを含めて10人ほどが参加し盛り上がりました。
パートのおばちゃんは麗子さんにぐいぐいツッコミを入れます。
「中川さんっていくつだっけー」
「35です」
「35っかぁ、じゃあまだまだ旦那とは、よろしくだねガハハァ」
「ないですょぉ、子供が出来てから全然笑」
おばちゃんも麗子さんもお酒が入ってるからなのか際どい話をしていました。
私は二人をたしなめながら心の中でおばちゃんナイスと激励していました。
そんなこんなで無事歓迎会も終わりお開きとなりました。
次の日が仕事のため二次会は無しで解散となり私と麗子さんは同じ駅の方向でしたので送りついでに駅まで一緒に歩きました。
「あー、今日は楽しかったです、店長さんありがとうございました」
「なんかプライベートなことまで喋らせてすいません」
「いいんですよ、でも私だけ喋って不公平だなぁ」
「それもそうですよね、じゃあ今度お話ししますね」
「じゃあ今度二人で飲みに行きましょ」
麗子さんは随分と積極的です。
半ば押される形で飲みに行く約束をさせられました。
そして駅に着きましたが路線が違うのでお別れです。
「店長さんお疲れ様でした、また明日お願いします」
彼女はそう言って私の口元にチュっとして去っていきました。
私は「ああ、お疲れ様」と言いながら呆然としていました。
このキスの意味は?私は考えましたが答えは出ませんでした。
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