私の誕生日を待たなくても、そのチャンスはすぐにやってきた。ビールを飲んで爆睡をした妻のスマホを
指紋認証で開けることに成功したのだ。着信遍歴とメールの遍歴を見たが、遍歴はすべて削除されていた。
だた、直前に届いた最新メールの1通は森隼人からだった。
「明日、夕5時、N公園、第2駐車場」
それだけの短いメールだった。N公園の第駐2車場は林の奥にある駐車場で、夕方にはほとんど人のいない
場所だった。明日その場所に男は妻を呼び出そうとしているのだ。最初に感じたのは、妻が男から
脅迫を受けているのかもしれない、という考えだった。そうでないなら浮気だが、会社を辞めた理由が
説明ができない。いずれにせよ、明日午後に休暇を取って、俺は現場に行くことに決めた。
翌朝、会社に出かける前に妻は、男のメールを見たのか
「今晩、友達の里奈に会ってお茶するから、あなた、適当に食事すませてね。」
「俺も今晩会議で遅くなるから、気にしなくていいよ。」
俺も妻に嘘をついた。
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